2005年2月1日 (火)  みんつに聞く100の質問 21

Q48.他人には言えない趣味     質問者:YOUさん

A48.
どんなに考えても、私、他人には言えないほどの趣味は、ないようです。
それは私が、公明正大な人物だからなのか、あるいは厚顔無恥なだけなのか、この場では、敢えて問わないことにしましょう。

しかし、これで終わりでは、やはりつまりませんので、少しばかり質問の意味を広げて、『他人に言えないこともないけど、言わない方が無難かも知れない趣味』について、書いてみようと思います。
そうそう、この趣味って、大きな意味で『好きでやっている事』ですよね。

私には、子供の頃から、あるものを集めて来る趣味があります。
学校や仕事からの帰り道、何かで出かけたついで、散歩の途中……機会がある度に、それを探し、捕まえて、家に持って帰ります。
大抵の子供なら、特に男の子は、そういうこともするでしょうが、30歳も過ぎたいい大人の女性がするには、それは、いささか奇妙と言えるかも知れません。

では、何故そんなことをするのか?
答えは、至ってまともです。私はそれが、非常に好きなのです。
何がどう好きかと聞かれると、答えられないのですが、何故か昔から、それが特別好きなのです。

そして、家に持って帰って来たそれをどうするかというと、庭に放します。
そう、他人から見たら、単に庭に放しているだけですが、私の目的は、庭でそれが繁殖すること、です。

そろそろ感付いている方も、いるかと思いますが、それは生き物です。

私が、それを毎年、庭にたくさん放していたので、夏になると私の実家では、それの子供がいっぱい生まれます。
妹などは、それを見る度に、キャーキャー騒いで、「みんつちゃん、もう止めてよね!」と嫌がりますが、私はその子供を見るのが楽しみなのです。
親と同じ形だけれど、ずっと柔らかそうな、薄い色をしたそれが、連なって生まれてくる姿や、家の網戸に止まっている様子は、何とも可愛らしいものです。

ただ、残念なことに、スイスにはその生き物、生息していないのです。
……せっかく、広い庭があるのになぁ。

2005年2月2日 (水)  みんつに聞く100の質問 22

Q49.あるだろう七癖      質問者:YOUさん

A49.
何気なく広辞苑で、『癖』の意味を引いたところ、『偏った嗜好または習慣』とありました。

私、いわゆる『変なところだけ神経質』というような性格でして、ありますね、偏った嗜好や習慣は。
この偏り、本人もある程度気付いていますので、普段から、笑える範囲で収まるよう、自粛してはいるのです。……そのつもりですが。

では、それがどんな癖か、ひとつ例を上げてみましょう。

私たち夫婦は、毎晩一緒にベッドに入るのですが、夫B氏は、ささっと服を脱ぐと、くしゃくしゃの布団の中に入り込み、グーグー寝てしまいます。
これが私には、出来ないのです。

まず、シーツの皺が気になります。
身体の下で、何枚もの生地が重なっているのが、嫌なのです。
ですから、B氏から掛け布団を奪うと、両脇からシーツを引っ張って、きれいに伸ばします。

次に、掛け布団は、マットレスに対して、平行でなければいけません。
掛け布団の足側をマットレスの端に合わせ、両脇からは、同じ長さだけ掛け布団が垂れるようにします。
この辺りでB氏は、毎晩笑い出します。

そして、掛け布団カバーの、ボタンの付いている側は、上に来てはいけません。
寝ている時に、ボタンが首や顎に当たったり、髪の毛に絡まったりするのが、駄目なのです。

ここで厄介なのは、掛け布団カバーの余分が、足の方に行かないといけないことです。
分かりますか?
カバーの方が掛け布団自体より幾らか大きい場合、カバーの生地だけが、首元で余っていてはいけないのです。
これはちょうど、レストランで豚カツを注文したら、カツの入っていない、衣だけの豚カツが出てきたようなものです。
そんな豚カツじゃ、机ごと引っくり返したくなりますでしょう。

さて、それだけ苦労して、私がベッドを整えても、B氏がたった1回寝返りを打つと、全てはぐしゃぐしゃになります。
しかもB氏、掛け布団の端を、身体の下に巻き込んで寝ます。こうなると、掛け布団が私を圧迫する感じがして、駄目です。
掛け布団は、身体の上で、テントを張るようにしていて欲しいのです。

そうそう、他にもですね……え、もう良いですか?

2005年2月4日 (金)  みんつに聞く100の質問 23

Q50.あの時旅行に出ず、日本にいたら、今頃どんな暮らしをしていたか(もしくは、どんな暮らしをしていたかったか)?   質問者:SAKURAさん

A50.
まず、この質問の意味が分からない方は、お手数ですが、下記の『過去の日記』のどちらかを、お読みになって下さい。
2004年  3月6日 『私がスイスに住んでいる理由』
       9月28日〜10月1日 『スイス人との遭遇 銑ぁ

あの旅行に出る前、私は実家に戻るつもりでいましたので、自分の物を荷造りしている最中でした。
多分、あの時旅行に行かなかったら、そのまま実家に戻り、近所で適当な仕事を見付けていたと思います。
そして、何か資格でも取って、一人で暮らして行くのに十分な給料がもらえる仕事に転職し、小さなワン・ルーム・マンションでも買っていたのではないでしょうか。

ひょっとすると、どこか途中で、素適な日本人男性と恋に落ち、一緒に暮らしていたかも知れませんが、再婚はしていなかったのではないか、と思います。

そういえばあの時は、「さあ、これからは、何でも好きなことが出来るぞ」というような、はつらつとした気分だったように記憶しています。

……ふふふ、数年間ぐらいは、自由気ままに男性を泣かせていた、なんて可能性も、あるのかなぁ?

Q51.スイスで一番のナイス・ガイは誰?    質問者:はれるやんさん

A51.
この答え、実は、「ごめんなさい」なのです。

この質問を頂いてから、新聞や雑誌、TVなどを注意深く見たり、私の周りの男性たちを再度チェックしたりもしましたが、どうしても、思い付きません。
そこそこ見栄えが良い男性、というなら、その辺にいないこともないでしょうが、一番のナイス・ガイとなると、そういうお茶を濁して終わり、という訳にも行きません。

スイス人って、皆さんが思っているほど、格好良くはないのです。
現に、前回の「ミスター・スイス」は、スイス国籍を持っている、クロアチア人ですし。
故アンディー・フグ氏などは、スイス人としては、かなりハンサムな部類に入れるのではないでしょうか?

ということで、この課題、持ち越しです。
いつの日か、『スイス、ナイス・ガイ図鑑』なんて作れる日を、夢見ながら……

2005年2月6日 (日)  みんつに聞く100の質問 24

Q52.スイス人の平均身長、体重、スリー・サイズは?    質問者:欠食児さん

A52.
昨日に引き続き、これも「ごめんなさい」なのです。
私なりに色々と調べてみましたが、分かりませんでした。

これは私の憶測ですが・・・・・・
スイス人というものが、元々単一民族ではありませんでして、日本の皆さんには想像し難いかも知れませんが、簡単に説明すると、イタリア人のように見えるスイス人もいれば、ドイツ人のように見えるスイス人もいるし、スイスの国籍を持っている、元は全くの異民族であるスイス人もいる、という訳なのです。
そして、そういう国民の身体的な平均を出すこと自体に、意味があるのかどうかということが、そもそもの問題になるのかと思います。

例えば、私の周りだけを見ても、北の方の血が入っているらしい、2m近い、金髪で青い目の男性がいるかと思えば、私よりも背の低い、一見イタリア人のような、黒っぽい髪で茶色の目をした男性もいるのです。アフリカ人のようなスイス人や、中国人のようなスイス人もいます。
女性にしても、これは同じです。
そういう人たちを一緒にして、公の数字として平均を出しても・・・・・・ということなのではないでしょうか?

しかし、そういう答えではつまりませんし、このHPは、まあ、お楽しみの場です。
ですから私、洋服のMサイズがどのぐらいなのか調べ、そこから平均を計算してみました。
これも、何語圏のスイスになるかによって違うのでしょうし、私が調べたドイツ語圏の範囲内でも、メーカーによってかなり差がありましたが。

・・・・・・ということを前提にして、洒落で楽しんでください。

       男性         女性
・身長:  175cm       ?
・バスト:  98cm      92cm
・ウェスト: 88cm      75cm
・ヒップ: 101,5cm   100cm
・足:    30cm      25cm

ちなみに子供服ですが、一番大きなサイズは、172cm(女児用)です。

Q53.スイス人の定年時期、および老後の過ごし方      質問者:Rie(オランダ)さん

A53.
まず、スイスで定年退職になる年齢は、下記の通りです。
男性:65歳
女性:1939〜1941年生まれ 63歳、1942年生まれ以降 64歳

日本の場合、確か、幾らか早目に定年退職するのが、一般的だったように覚えていますが、スイスの場合、それはお金に余裕のある人の場合、でしょうか。
職場での地位や仕事の引継ぎ、会社との話し合いの関係によって、退職時期の調整も出来るようですが、大体の人は、規則通り上記の年齢になったら退職になるようです。

さて、では定年退職後、皆さんどうしているのでしょうか?
これはずばり、『趣味に生きる』です。

スイスの風潮として、「仕事以外に生きがいがない」というような人は、普段から何となく、肩身の狭い思いをします。
ですから皆さん、それなりに趣味がある訳です。
若い頃から、仕事の後や休暇を利用して、趣味を楽しんでいるスイス人は、定年になると、その趣味にもっと時間を割きます。

もし皆さんの中に、老後はスイスでのんびりと、などと考えている方がいましたら、悪いことは言いません、今から是非、他人に語れるような趣味を作って置いて下さい。

2005年2月7日 (月)  みんつに聞く100の質問 25

Q54.日本にいる時と、価値観が変わったことは何?   質問者:ビッキーさん

A54.
日本で暮らしていると、外国=米国、外国語=米国英語という構図が、私たちの意識しない間に、出来上がっている場合が多いと思います。
日本に入って来る世界のニュースも、やはり何らかの形で、米国の影響が入っています。これは、強者の価値観と言っても良いでしょうか。

私がスイスで暮らすようになって、最初に驚いたのは、米国が、たくさんある世界の国の単なる一つに過ぎない、ということでした。

これ、こうして書くと、「みんつさん、何を言っているの? そんなの当たり前じゃない」と思われるでしょうが、私が知る限りでは、皆さんが感じている以上に、日本に対する米国の影響は大きいです。
そして、私がどきりとしたのは、その影響がまるで、気付かぬ間に洗脳でもされたかのように、生活に入り込んでいることでした。

スイスは、皆さんもご存知のように、戦争難民などの受け入れを、積極的にしている国です。乱暴な言い方をしてしまえば、米国などが巻き起こす戦争の、難民を受け入れています。
ですから、ここでは、いわゆる弱者の声を聞くことが出来ます。

そして、私が毎回感じることは、物事の真理は、自分がどこに立っているかによって、大きく違って見えるということです。
私はここで、どちらが正しくて、どちらが間違っている、ということを言うつもりではありません。
ただ、『違いがある』ということです。
私が日本にいた時に、疑問すら抱いていなかった普通や常識が、ここでは違った側面を見せることがあるのです。
日本にいた時のままの価値観では、計り切れない事実があります。

そういうことを目の当たりにして、私自身の中で、ある種の恐怖がなくなりました。
未知のものに対して、過大評価をしなくなりました。
私は、どこにいようが何をしようが、私である。間違うし、格好悪いこともする。誰だってそうだし、それで良い。
そういう強さが出来ました。

簡単に言ってしまうと、自分がどの位分かっていないかが、少しばかり分かるようになって来た、ということでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2万人訪問記念企画、『みんつに聞く100の質問』は、これで全部です。
質問を下さった方々、毎回日記を読みに来て下さった方々、ありがとうございました。

途中、PCの故障などもあり、予想していたよりも随分長い企画になりましたが、皆様に少しでも楽しんで頂くことが出来たなら、私としては大成功です。
普段、自分で考えるのとは全く違った質問を頂き、私自身、楽しみながら書かせて頂きましたし、今後の日記のヒントなども、たくさん思い付くことが出来ましたこと、もう一度、お礼申し上げます。

そして、今後も、よろしくお願いします。

明日からは、また平常通りの日記に戻ります。
企画中に起こったハプニングなんか、書いちゃおうかなぁ・・・・・・ 

2005年2月9日 (水)  ドイツ語講座(人名編)

私が、ドイツ語を習いだした頃、思わず「えぇ、そんな意味なの」と、笑ってしまった単語があります。
それは、『Bach』です。日本語風にカタカナ表記をすると、『バッハ』です。

もう、ぴんと来た方もいるかも知れませんが、これ、かの有名な音楽家の名前でもあります。
そして、この単語の意味は、『小川』です。
そうです、あの偉大な『バッハ』は、実は、『小川さん』だったのです。
ね、こうなると、ぐんと親近感がわいて来ますでしょう?

ということで、今日は皆さんも良くご存知の、意外な名前をいくつかご紹介します。

【アインシュタイン(Einstein)】
はい、相対性理論のあの方です。
アイン(ein)は、『一』で、シュタイン(Stein)は『石』ですから、彼の名前は『一石さん』になります。
物理学者の『一石さん』と聞くと、ベーなんて舌を出している姿は、想像出来ませんね。

【シューマッハー(Schuhmacher)】
今や向かうところ敵なしの、世界一速い男です。
シュー(Schuh)は『靴』、マッハー(Macher)は『作る人』ですから、『靴屋さん』です。
ドイツ語の名前には、職業を表すものがたくさんあります。多分、彼の先祖は靴屋を営んでいたのでしょう。

【デップ(Depp)】
この名前、実は、非常に気になっているのです。
これ、俳優の『ジョニー・デップ』氏の苗字ですが、これは、本名なのでしょうか?
彼の祖先が、ドイツ語系の移民かどうかは知りませんが、ドイツ語ですとこれ、『のろま、ばか』という意味なのです。
のろまのジョニー・・・・・・ファンの方、悪気はありませんので、怒らないで下さいね。

【アイゼンハワー(Eisenhower)】
ドイツ系の元米大統領です。
これは、私の勝手な推測ですが、アイゼンハワーのハワーは、元々ドイツ語の『ハウアー(Hauer)』が、アメリカ風になったものではないでしょうか?
という前提で・・・・・・
アイゼン(Eisen)は『鉄』を、ハワー(Hauer)は『採鉱夫』を意味します。
鉄採鉱夫から大統領へ、見事な出世・・・・・・なんて考えると、面白いでしょう?

【ゴールドバーグ(Goldberg)】
この名前も、私としては気になります。
彼女の名前が、ドイツ語系なのかどうか、もしそうだとしたら、どういう経緯なのか、興味深いところです。
この方は、コメディーなどに良く出られる『ウーピー・ゴールドバーグ』嬢です。
ゴールド(Gold)はもちろん『金』ですし、バーグ(Berg)は『山』です。
黒人女優の『金山さん』・・・・・・日本でも行けそうでしょう?

日本語に換えたら面白い名前は、まだまだたくさんあると思います。
ドイツ語にしたら格好良い日本名も、きっとたくさんあるでしょう。
こんな勉強の仕方も、たまには良いでしょう?

2005年2月10日 (木)  S氏の場合

「今更何を」と思われる方もいるでしょうが、スイス人というのは、概して、変わっています。

どこがどう変わっているかと言いますと・・・・・・
まず、彼らは、異常にきちんとしています。
全ては、きっちりと秩序立っていなければいけないのです。例えそれが、取るに足りないものであっても、カオス(Chaos:混沌、無秩序)は悪なのです。
しかしこの秩序、彼らがどう保っているかといえば、その方法は、ものすごく非合理的です。
その秩序を保つために掛かる、時間やエネルギーの無駄は、考慮には入れないのです。

次に、彼らは、「皆と同じである」と、他人に思われることを嫌います。
ですから、いわゆる「メジャーでないもの」を好む傾向にあります。
誰にでもその良さが分かるようなものを好んでいるようでは、まだまだ甘い、という訳です。
しかし、皆がそういうものを良しとした場合、今度はそれがメジャーになる、とまでは考えないようです。

きちんと秩序立った生活を送りつつ、個性的でいる、これは厄介な課題です。
カオスは許されませんが、かといって、何もかもきっちりしている、融通の利かない人間だ、と思われたくはない彼らは、時として、奇妙なことをします。
既成概念から開放された自由人であり、尚且つ、他人から後ろ指を刺されるような落伍者ではない、という人物になるには、どうしたら良いのか。
ここに、おかしな妥協が生まれるのです。

例えば、S氏は、現代のヒッピーというような生活をしています。
彼は、おんぼろで小さなキャンピング・カーに住み、夏は適当な肉体労働、冬はスノーボードの先生をしています。

彼は自由人ですから、よれよれのTシャツに奇抜なズボンを履き、髪も伸ばしています。鼻には、何処かの原住民のような木片が、牛の鼻輪よろしく填まっていますし、手首や首からも、紐に通された石だか貝だかが、ぶら下がっています。
その上彼は、「スイス人たる者、チョコレートと牛乳を食べていれば十分だ」と言い張り、どうやらそういう生活をしているようです。
まあ、今のところ健康そうですし、労働で鍛えられたその肉体は、なかなかのものですので、特に反対する理由もなさそうですが。

さて、そのS氏の秩序は、どうでしょうか?
彼、牛乳パックが空になると、器用に小さく畳んで捨てます。ゴミを出来るだけ小さくするという、主婦のようなこの気遣い、他所の家に行っても、きちんとやります。
そして、彼がいつもキャンピング・カーを停める場所は、私が以前住んでいた家の前です。
ここは、道が少し広くなっていますので、他の交通の邪魔になりません。

ここまでは、何もおかしいことはありません。
どんな生活を送ろうが、他人に迷惑をかけなければ、良い訳です。
ただ、私には、理解出来ない点があるのです。

ある日、我が家で牛乳を飲んでいたS氏に、私は、思い切って聞いてみました。
「ねえ、どうして実家に住まないの?」
「自由が欲しいからだよ」
「・・・・・・」

でもね、彼の実家は、私が以前住んでいた家の、道を挟んで目の前なのです。
彼がキャンピング・カーを停めている場所から、5mというところです。
しかも、その大きな家には、誰も住んでいないのです。
・・・・・・実家に戻ると、一体どんな不自由が待っているのでしょう?

明日は、別の知人を例に取って、スイス人を検証してみたいと思います。

2005年2月11日 (金)  R氏、J氏の場合

今日も昨日に引き続き、スイス人の不思議を紹介します。

【R氏の場合】
R氏の職業は、自動車整備工です。
彼のモットーは、「仕事だけに生きるような人生は嫌だ」ですから、整備工として週の半分だけ働き、残りの時間は趣味に費やしています。
そして、いつでも「そんなに働いて、お金が少しばかり増えたって、何の意味がある?」というようなことを言います。

まあ、R氏の住まいは、彼の父親が遺産で残したものですから、他の人のように家賃を稼ぐ必要がありませんし、彼の奥さんも働いていますので、そういう暮らしも成り立つのでしょう。
誰に借金をしている訳でもありませんから、R氏の生活、他人がどうこう言うことでもありませんが。

しかし、私個人としては、やはり不可解なのです。
というのも、彼の趣味は、自動車の整備なのです。
もちろん、仕事で扱う車は、いつも彼の好きな車という訳には行かないと思いますが、それでも、平日は遅くまで、週末も自分の車庫にこもって、彼は車の整備をしています。

・・・・・・これ、お金が支払われるかどうかだけの違いであって、仕事をしているのと、同じではないのでしょうか?

【J氏の場合】
J氏の趣味は、ずばり、家を建てる、です。
これ、本人は認めないでしょうが、私の知る限り、J氏はいつも、どこからか中古の材料を仕入れて来て、自分の両親の敷地内に、勝手に家を建てています。

どういうことかと言いますと・・・・・・
J氏の両親は酪農家でして、色々な所に土地を持っています。そして、そこには、古い家や牛舎があります。
彼はその古い家を改築したり、牛舎を住まいに変えたり、場合によっては、更地に何かを建てたりしているのです。

これ、素人仕事とは思えないほどで、床や壁はもちろんのこと、配管工事から、浴槽や便器の取り付けまで、全部一人でやるのです(こっそり教えてくれたのですが、クローゼットの裏には、秘密の部屋までありました)。
そして、希望があれば、友人の為にもそういうことをしているようです。

J氏が言うには、中古の材料で建てるから、安く上がるということですが、その部屋、その後賃貸して利益を出す、という訳でもありませんし、本人自身も、長く住む予定ではないそうです。

ここまでは、まあ良いのです。
誰がどんな趣味を持っていようが、個人の勝手です。例えJ氏が、給料の大半をそれに使っているとしても、それは、彼の問題です。

が、やはり、なのです。
この趣味、一人でやるには、大仕事過ぎると思いませんか? しかも、それプラス、普通に働いているのです。
そのせいかどうか、J氏はいつも疲れています。
誰かが、「今日、皆でパーティーするけど、来ない?」と誘っても、「時間がない」「お金がない」「疲れている」と言いますし、たまに来たかと思えば、椅子の上で舟を漕いでいます。

その上、J氏は、いつもこぼしています。
「優しい彼女が欲しい」
・・・・・・家建てるのと、恋人を探すの、順番が逆なんじゃない?

2005年2月15日 (火)  男だから?

最近つくづく感じるのは、私は、男性の生態を知らずに育って来たのではないか、ということです。
それなりに恋愛はしましたし、男性の知人友人などもいますが、男性が本当はどういう生き物であるのか、三姉妹で育った私は、その真の姿を知らずに、この歳になったように思うのです。
というのも、夫B氏と暮らすようになってから、困惑することがあまりにも多いのです。

例えば・・・・・・
「お父さんの鼾がうるさくて、一緒の部屋に寝るの、嫌なのよ」
これは、私の母が生前、よく愚痴っていたことです。
当時の私は、「たかが鼾ぐらいで、そんなに文句を言うなんて、もう愛がないのかしら?」と、密かに心配したりしていました。
しかし、自分が結婚してみて分かったことは、「夫の鼾は、信じられないぐらいうるさい」ということです。
B氏の鼾を測定したら、きっと、騒音規制法に引っかかると思います。B氏が訴えられないのは、私に愛があるから、ではないでしょうか?

先日などは、B氏、鼾をかいていたと思ったら、突然くしゃみまでしました。そして、くしゃみと同時に、何処かに消えたのです。
不思議に思って、暗闇の中で手探りをしたところ、B氏、寝返りを打ったらしく、ベッドの端に横向きで寝ていました。
寝ながらくしゃみをすることに驚くべきか、くしゃみと同時に寝返りが打てることに驚くべきか、私はしばらく眠れませんでした。

他には、TVのリモコンです。
B氏は、面白い番組のない場合、5分毎にチャンネルを変えます。
何かの番組を途中から見せられ、やっと内容を掴みかけた頃、また別の番組を見せられ、私の頭は、「ひぃ〜っ」という状態になっているのに、B氏は、笑ったりしているのです。
「もう、頭おかしくなるから、そんなにチャンネル変えるの、止めてよ!」
私が怒り出すまで、これは続きます。

「自分がやられないと、他人の気持ちは分からないんだ」 そう思った私は、ある日、試しに同じ事をしてみました。
B氏が見ている番組を、何も言わずに変えたのです。
私は、当然文句を言われるものと、構えていましたが、B氏、チャンネルが変わったことすら気付かない、とでもいう風に、別の番組を楽しそうに見続けていました。
これは一体、どういうことでしょう?

それから、部屋の整理整頓です。
私は、自分の物がどこにあるのか、分からなくなると困るので、部屋を勝手にいじられるのは、嫌です。
B氏もそうだろうと思い、いまだに「昨日引っ越してきたの?」とでもいうような彼の部屋、ずっといじらずにいました。
ただ、どうしても気になるので、時々、「そろそろ片付けたら?」とは言っていました。

年が明け、引越しから3ヶ月以上経ち、私の我慢も限界が来ました。
「これ以上は、いくらなんでも待てない。私にいじられたくなかったら、もっと早く、どうにかすべきだったんだ。文句は言わせない」 私は、そう自分に言い聞かせ、B氏の持ち物を整理しました。

仕事から戻ったB氏、部屋を見るなり言いました。
「おー、綺麗になったな。これ全部、みんつが一人でやったのか?」
・・・・・・どうやら、気に入ったようです。

しかも、「みんつが整理したから、何がどこにあるのか、分からないんだよなぁ」などと言いながら、何かある度に、「xxはどこ?」と私に聞きます。
そして、その様子、実に嬉しそうなのです。
うっかりすると、「俺の時計、どこ?」などとも聞きますが、これは、部屋の整理整頓とは、全く関係がないことです。
財布も、鍵も、携帯電話も、どこにあるか私に聞くのは、何故なのでしょう?

・・・・・・これが、男性というものでしょうか? それとも、うちだけ?

2005年2月16日 (水)  アロマ・セラピー

私が住んでいる家は、築300年ぐらいの古い建物です。
100年程前に一部が改築され、最近になって、最上階の部分が、賃貸用に独立されたようです。
そんな古い建物が、今でも使えること自体驚きですが、最初に建てられた部分が、最も自然環境に適応し、しっかりしているのは、もっと驚きです。

さて、その一番古い部分である、我が家の寝室ですが、心持ち臭うのです。
なんというか、やはり古い臭い、とでも言いましょうか。
取り立てて大騒ぎするほどではありませんが、臭わなければそれに越したことはない、というような具合です。
もちろん、天気の良い日には、十分換気をしていますが、やはり今は冬ですから、匂いもこもりがちになります。

先日、偶然スーパーで、良い香りのするろうそくが、安売りされていました。
これはちょうど良いタイミングです。
去年の暮れ、クリスマス・プレゼントということで、夫B氏が、何やらパワーのある石で出来たろうそく入れを、ヨガの先生から頂いたところだったのです。

「B氏、これ、寝室の臭い消しに、ちょうど良いんじゃない? どっちが良い?」
私は、ヴァニラとみかんの香りのろうそくを、B氏に見せました。
「ヴァニラ!」
「げっ、そう来るとは思わなかった。ヴァニラじゃ、甘過ぎるんじゃない?」
私は、両方の袋を一つずつ買いました。

しかし、ろうそくはやはり火ですから、寝ている間も点けておくのは気になりますし、昼間点けているのは、何となくおかしな感じです。
今ひとつ、上手な使い方が出来ずにいた私に、B氏が最近、小さなビンに入った香油を数本くれました。

「これ、随分前に買った物なんだけど、使えるんじゃないかな。空き缶か何かに水を入れて、この香油を垂らしたものを、暖炉に乗せたら、部屋の中が良い匂いになるんじゃないか?」
「あ、それは良い考えだね。それなら、寝ている間もおいて置けるし、部屋の乾燥を防ぐのにも、ちょうど良いね」
それ以来、我が家の寝室は、心地良い匂いがするようになりました。

ところが、昨夜のことです。
いつもはどちらかというと、自然の匂いに近いものを垂らしていたのですが、昨夜は何となく、違ったものを試したくなった私、アプリコットの香油を数滴、缶の水に垂らしました。
1分も経たない内に、暖められた水の中から、甘い匂いが広がります。

・・・・・・ん? この匂いは、どこかで嗅いだことがある? どこだろう? 何となく、よく知っている所のような気がする。

!!! あ、分かった。うっ、まずい・・・・・・
それが、どこの匂いと同じか分かった時、寝室は既に、甘い匂いで一杯でした。

「B氏、ごめんね。今夜の香油は、ちょっと失敗だ。xxスーパーのトイレと、同じ匂いでしょう?」
B氏は、鼻をくんくんいわせて部屋の匂いを嗅ぎ、言いました。
「大丈夫、俺、公衆トイレの中で寝るの好きだから」
そして、ぶりっと、おならを一つしました。

・・・・・・B氏、それは、今夜に限って止めてくれ。
ただでさえ、トイレの芳香剤と同じ匂いなのに、おならでもう一味は、リアリティーあり過ぎです。

2005年2月17日 (木)  ミスター・スイス

私の日記、普段は読むところだけですが、今日は趣向を変えてみました。

というのも、これはスイス人を知る良い機会ですし、興味がある方もいるのではないかと、思うのです。
その上、2万人記念企画で「ごめんなさい」をした、質問の補足にもなります。

さて、それは何か?

まあ、今日のタイトルを見れば分かりますが、『2005年、ミスター・スイス』コンテストが始まったのです。

下に住んでいるお婆ちゃんが、いつもくれる雑誌に、候補者の写真が載っていましたので、皆さんにもご紹介しようと思います。

では、どうぞ!

『ミスター・スイス候補者を見る』
(時間が経った為、画像は外しました。)

2005年2月19日 (土)  天国の役人

「すいません、もっと大きいのありますか?」
小さな男の子が指差した棚の上には、5cm位の木彫りのたぬきが飾られていました。
父親の使いでしょうか。少年は、居酒屋の前に置かれているような、焼き物の大きなたぬきを探しているようです。
「ちょっと待っていて。探してみるから」
大型スーパー内の骨董店に勤め出したばかりの私は、少年をそこに残すと、上りのエスカレーターを勢いよく駆け下り、先輩従業員の元へ向かいました。
「すいません。たぬきの置物を欲しいと言うお客様がいるのですが、どこにあるか、分かりますか?」
「地価倉庫にあるかも。扉を開けたら、左側にある最初の棚。そこになければ、在庫切れだと思うわ」
「ありがとうございます。見て来ます」
私はスーパーを出ると、駆け足で裏の倉庫に行きました。

大きな敷地内の隅にある、倉庫が入っていると思しき建物の扉を開けると、そこには、地下へと続く階段が、小学校のうんていを思わせるような形で、天井から逆さまに伸びていました。
床があるべき所には、暗闇が広がり、倉庫へ行くには、どうやらこの階段を伝い降りるしかないようです。
私は、両手足で階段にしがみ付くと、背中を闇に向けた格好で、階段をずり下がり始めました。
私がいくらも進まない内に、やはり倉庫に用事があるらしい、別の女性従業員が、私と同じ格好で、階段を下りて来ます。
「怖いわよね、この階段。どうにかならないのかしら」
「そうですね。こんな所で時間を取られていたら、お客さん、帰っちゃいますよね」

・・・・・・と、いう夢を見ていたところ、私は、電話で起こされました。

「ベルン州税務局ですが、1999年と2000年の税金に関して出された、苦情の手紙に付いて、お話があるのです」
「・・・・・・は? 今、何て言いました?」
「ハイ・ジャーマンで話した方が、良いでしょうか?」
この時、寝起きの私は、電話の相手が何の話をしているのか、全く見当も付かない状態でして、言語を変えたからといって、理解出来るとは到底思えなかったのですが、とりあえず、「そうして下さい」と答えました。

「1999年と2000年の税金について、苦情の手紙を出されましたよね。そのことについてなのですが」
「ええと、何の話だか、さっぱり分からないのですけど」
「1999年と2000年の税金について・・・・・・」
「ちょっと待って。その年は、確かスイスにいなかったと思います。日本に行っていました」
「そうです! その年の税金についてですね、みんつさん、苦情の手紙を出されているのですよ」
「はぁ・・・・・・正直な話、全く記憶にないのですけど。それに、1999年の手紙が、何でまた今頃」
「それは、今まで担当だった人が、今回退職することになりまして、私が仕事を引き継いだところ、みんつさんの未処理の手紙があったのです」
「・・・・・・」
「もちろん、その後みんつさんは、税金もちゃんと払われていますし、何も問題はないのですが、コンピューターの処理上、この手紙も終わりになったという入力が必要でして、それには、みんつさんのサインが要るのです」
「サインするだけで、他は何もしないで良いのですね」
「はい、単にコンピューターの数字を合わせるためだけですから。ご了解頂けますか?」
「ええ、良いですけど」
「では、こちらから近い内に手紙が行きますので、驚かれないで下さい」
・・・・・・これだから、スイスは油断出来ないんだ。大体、5年も前の手紙なんて、時効じゃないのか?

ヨーロッパには、各国の男性の、国柄を示したような内容の冗談があります。
どの国の人が言うかによって、少し変わったりもしますが、大方こんな感じです。
『天国では、コックはフランス人、庭師はイギリス人。恋人はイタリア人で、役人はスイス人』

・・・・・・ヨーロッパの天国、私は、遠慮しておきます。

2005年2月21日 (月)  平均的スイス人

昨日、友人からメールが届きました。
『みんつが前に探していた、スイス人の平均、見つけたから送ります。 平均的スイス人のS氏より』

S氏はジャーナリストでして、どこを探したらそういうものが見つかるか、アドヴァイスを頂いていたのですが、検索の苦手な私、どうしても見つけることが出来ずにいたのです。
(実は、スイスのサイトって、真っ黒な字ばかりで、開けたとたんに読む気をなくすものが、殆どなのです。どなたか、グラフィックの才能のある方、スイスに進出してください。)

私はもちろん、「ブラボー!」と返信しておきました。

ということで、2万人企画のもう一つの「ごめんなさい」でした、スイス人の平均体格、ここに発表することにします。

      男性          女性
身長: 176cm        164cm
体重: 77.6kg       62.7kg
寿命: 77.8歳        83歳
睡眠時間: 男女とも 7時間/日

欧州人1人当たりが、生涯に取る食べ物
牛: 3頭
豚: 10頭
仔牛: 2頭
羊: 2頭
鶏: 100羽
魚: 2000匹
卵: 1万個
チーズ: 1トン

魚2千匹・・・・・・マグロ? それともイワシ?
この辺の大雑把さが、魚を食べる習慣の浅いことを、示しているような気がしますが。

2005年2月23日 (水)  妻の実験リポート

ここ数日、私は、ひそかに実験をしていました。
夫B氏に対する態度を変えて、その変化を観察していたのです。
というのも、何となく最近、なめられているような感じがするからです。
私が何か言っても、適当に時間稼ぎをしていれば、そのうち問題がうやむやになる、という作戦を使われているように思うのです。

私が、どういう風に態度を変えたかといいますと、
例えば、我が家では、B氏が帰宅した時に「おかえり」のチュなどをする訳ですが、今までのように出迎えるのではなく、あたかも帰って来たことに気が付かなかった、とでもいうような感じで、「あ、おかえり。もうそんな時間なのね」などとやるのです。

他には、B氏はなぜか、お風呂から上がると毎回、裸のまま、台所にいる私のところに来て、踊ったりします。
以前は、調子を合わせて笑ったり、馬鹿なことをしていたのですが、ここ数日間は、それも気づかぬ振りをしてみました。

それから、一緒にTVを見ている時などは、番組に集中している振りをして、B氏に話し掛ける回数を減らしてみました。
ちなみにB氏、番組の途中で私が何かを聞いたりすると、普段ですと嫌がるのです。

さて、この結果、B氏にどんな変化が現れたかといいますと、
まず、TVの途中では、通常なら自分でも嫌がるような、くだらない質問を頻繁に投げかけ、私に適当にあしらわれました。
そして、特別な用事もないのに、何やかやと私の周りをうろつき、話し掛けて来るようになりました。

私がそういうことをやると、B氏は面倒臭そうにしていたのですが、やらなければやらないで気になるようです。
しかし、これで終わりではありません。
文句の一つも言いたい所をぐっと堪え、引き続き、「自分のことに集中しているので、B氏に割く時間はない」というポーズを取り、スノーボードなどにも一人で行ってみました。

すると、昨夜のことです。
帰宅したB氏、いつもなら真っ直ぐに私の所に来るのに、一人台所でこそこそとしています。
私は、知らない振りをしていましたが、スーパーのビニール袋がかさかさいう音は、しっかりと聞きました。
・・・・・・B氏、何かを隠したようです。

「ああ、おかえり。夕飯の支度するね」
私は、何気なく台所に行き、B氏の隠したものを見つけました。
ポテトチップスと復活祭に食べる、白うさぎのチョコレートが一つです。

「ああ、うさぎ!」
思わず私がそう言うと、B氏はにやりと笑いました。
「このうさぎ、みんつに上げるね」
「ええ、何で? 一つしかないのに、良いの?」
「うん、プレゼント」
「ありがとう。うさぎは、デザートにするね」
素直に喜び、何の迷いもなくビールの栓を空け、ポテトチップスを食べ始めた私。

・・・・・・今回の実験、残念ながら、途中で失敗に終わりました。

2005年2月25日 (金)  頑張れ若者! (前)

   (文字数制限の関係上、今日の日記は2つに分けました。)

これは、私が、観光地の土産物店で働いていた時の話です。

その町の各店舗には、季節労働者として、日本から来ている若い女性たちがいました。
中にはそうでない人もいるのでしょうが、彼女たちがその仕事を選んだのは、「外国で働くなんて、何だか格好が良いから」です。
もちろん私は、何かを始めるのに、いつもきちんとした理由が必要だ、などと言うつもりはありません。きっかけなんてどうでも良いのです。

しかし、残念なことに、どこの国で働こうが販売員は販売員である、という基本すら忘れてしまう人が多いのです。
彼女たちの多くが、ちょっとした外国経験を得、お給料を貰いながら観光する、というような感じなのです。
ですから、当然彼女たちは、その国にずっと暮らして行かなくてはならない人のことなど、考えません。

具体的な例を上げてみましょうか。
まず、外国語で書かれた契約書を、きちんと読む人はいません。何が書いてあるか全く解らずに、サインをします。
「だってぇ、もうスイスに来ちゃったしぃ、そんなの全部読むの、面倒臭いもん」という訳です。現地の誰かに、契約書を理解する助けすら仰ぎません。
その契約書には、実際、違法なことが含まれている場合もあるのに、です。

日本人だけでなく、結婚などの事情があって、スイスに住んでいる外国人は、自分のそうした行動が、他の外国人に及ぼす影響も考えます。
不法な扱いに泣く、外国人居住者がいることも知っていますし、自分の身は自分で守らなければいけない、とも知っているからです。もしくは、一生住むかも知れない国で、嫌な思いはしたくないからです。

そして、彼女たちは、日本の感覚で、いや、それよりも気軽に、男性と接します。
スイスの女性は、性をちらつかせて男性を釣るということは、決してしません。むしろ、そういう男性を、ぴしゃりと撥ね付けます。
「一人の人間として、十分な敬意と尊重を払いなさい」という態度ですから、男性の方も、それなりの努力をします。

ですから、性をちらつかせて釣ることの出来るような男性は、正直な話、スイスの女性が、まともな男である、とは見なさない男性です。
彼女たちは、そうすればビザが切れた後もスイスに滞在出来る、というだけの理由で、そういう男性との結婚を望みますし、時には、そういう男性を複数で取り合ったりもしています。

離婚率が高いせいでしょうか、スイス人は、そんなに簡単には結婚しません。
離婚となれば、男性側はたくさんのお金を払わないといけませんし、母子家庭への保護もきちんとしていますので、日本のように、何とかベッドに誘い込んで、妊娠すれば結婚、とは行きません。
ちなみにスイスでは、堕胎は基本的に違法です(最近の選挙で、この法律が変わったかどうかは、調べていません)。

               〜後に続く〜

2005年2月25日 (金)  頑張れ若者! (後)

         〜前からの続き〜

それから、「愛があれば言葉なんて」と言い、ドイツ語を習おうとしません。
スイス人の母国語は、スイス・ジャーマンです。
現地に住む外国人は、ハイ・ジャーマンを習うという苦労をした後で、更にスイス・ジャーマンを身に付ける努力をするのです。
そして、スイス・ジャーマンを何とか理解出来るようになって、やっと、スタートラインに立たせてもらえるのです。

しかも、英語が出来るということで来た彼女たち、少しややこしいことになると、「すいませ〜ん、分からないので代わって下さ〜い」と、仕事に対する意識も低いことが多いです。
クレジットカード残高の確認を、「電話で英語を聞き取るのは、好きじゃないから」という理由で、やらないで済まそうとした女性もいます。
彼女は、日本に帰ればお終いですが、残された人が、その引き落とし不可能なカードで出された損失をどうにかしなくてはいけない、ということまでは、考えないようです。

例を上げたら限がないほど、他にもたくさんあります。

私はここで、「そういうやつは来るな」と言うつもりはありませんし、文句を言いたい訳でもありません。
私は、基本的に、多くの日本人が外海に出て、外国が特別であるという意識すらが、失くなることを願っています。
海外に出るきっかけなど、ちょっとした好奇心で十分ですし、的外れなことをじゃんじゃんするのも良い体験です。
文化や習慣が違うのですから、最初から何もかも上手になど、出来る筈はありません。それどころか、むしろそういう失敗なしには、真の理解はないと思います。

ただ、一つだけ言いたいのは、もっと覚悟を決めて下さい。
自分の夢を追って来たのですから、自分の力で何とかしようとする、という姿勢を見せて下さい。
もちろん、私たちに頼めば早く終わることもあるでしょうし、ある程度の問題は、助けることも出来ます。
でも、貴方の夢をかなえるのは、貴方自身の仕事です。
日本のように、「可愛くしていれば、誰かが来て、何もかもやってくれる」というのは、ここでは無理です。

分かっていますか? 
自分で選んだ道だから黙ってやっているだけですが、私たちだって、自分のことで大変なんですよ。

2005年2月28日 (月)  最大の敵 (前)

ある日、私宛に一通の手紙が届きました。
書留で送られて来た、その書類に目を通すと、堅苦しい表現でこうあります。
『x月x日、xx時に出頭すること。
ドイツ語の理解が十分でない場合は、事前に連絡すること』
これ、裁判所からの出頭命令です。
どうやら私、訴えられているようです。
しかも原告は、スイスという“国”のようです。

「ひょっとしたら、何かあるかも知れない」と思い、ある程度心の準備はしていましたが、裁判沙汰とは、私の想像を遥かに越えています。そんな経験は、もちろん日本でもありませんので、この時の私、正直言って、かなり動揺しました。

ことは、こうです。
ある時私は、掛け持ちで2つの仕事をすることになりました。
そして、その新しく勤めることになった職場での労働許可証が、なかなか私の手元に届かずにいたのです。
それまでに、お役所とのもめごとに慣れていた私は、職場の上司と労働許可証を発行する警察の外国人課に何度も足を運び、トラブルになる前に、何とか処理しようとしていました。
警察の外国人課担当官からは、「貴方は同じ州の他所の職場から、既に許可証を貰っているのだから、新しい仕事を始めていても問題はない。警察の方の事務手続きが、遅れているだけだろう」と言われ、既に私を働かせている職場の上司は、「忙しい」の一点張りで、面会さえしてくれませんでした。
何となく嫌な予感がしていた私は、警察には定期的に行って、「許可証の発行はまだか」問い合わせ、上司には「出来るだけ早く、一度話し合いたい」との旨を、書面で送っていました。
しかし、私一人の努力では、何も解決しなかったようです。

裁判所からの手紙には、『敗訴の場合、罰金xxフラン』とありますが、それだけで本当に終わりでしょうか? もしかしたら、私の名前は、いわゆる『ブラック・リスト』とやらに載ってしまうのではないでしょうか?
今後スイスで暮らして行く上で、有利なことだとは、言えそうにもありません。

私は、出来るだけ気持ちを落ち着かせ、最初にすべきことを考えました。
「ドイツ語の理解が十分でない場合は、事前に連絡すること」・・・・・・そう、これです。
私は、その場で裁判所に電話を入れました。
「今日、そちらから裁判の通知が来まして、通訳を付けて欲しいので、連絡を入れました」
「貴方の母国語は、何ですか?」
「日本語です」
「お名前と裁判の日付を教えて下さい。それと、・・・・・・」
そんなやり取りを数分した後、電話の向こうの男性が、くだけた調子で言いました。
「でも、みんつさん、貴方のドイツ語、十分じゃないですか? 電話のやり取りも、問題ないし」
「そりゃあ、電話で話すぐらいは何とかなります。でも、裁判のような雰囲気の中、専門用語を使って進められたら、正しく理解出来るかどうか分かりません。ちょっとした誤解から、判決が不利にならないとも限りません。通訳の方は、私にとって保険のようなものですから、ぜひ付けて下さい」
そう言う私に、電話の向こうの男性は、笑って「分かりました」と言いました。

次に私は、何をすべきでしょうか?

今までの経験上、私は、大事な書類は全て、手紙などは日付も分かるように封筒ごと、それ専用のファイルに保管しています。
いやらしい話ですが、時には、手紙に書いてある日付と、切手のスタンプの日付に、大きなずれのある場合もあるのです。
私自身が出した手紙に関しては、毎回必ず書留で送っていますし、そのコピーも取ってあります。
そして、それらは例え何年経とうが、私がスイスで生活している限り、捨てるつもりはありません。これは私にとって、自分を守るために大切な、証拠類だからです。

試しにファイルをめくると、裁判に必要そうな書類は、やはり一つ残らず揃っていました。
裁判の日までには、2ヶ月間ありますが、私が特にしておくべきことは、何もないようです。
翌日、私は職場の上司に理由を話し、裁判の日に休みを貰いました。

        〜次回に続く〜