2019年4月8日 (月)  春の香り

(この日記は、4月1日に書いたものです。)

ドイツ企業のCMが日本人蔑視か。
白人男性の使用済み下着をアジア系女性が嗅ぎまくる内容に非難殺到

ドイツのホームセンター、ホルンバッハ(HORNBACH)の「春の香り」とい
うCMが、アジア人蔑視だと物議を醸している。』  ハフポスト(HUFFPOST)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190331-00010000-huffpost-int
https://www.youtube.com/watch?v=Z3iNXwHBKoI


朝起きてコーヒーを片手に、ぼんやりとヤフー・ニュースを見ていた私は、この記
事を見てびっくりしてしまいました。
そして、その後に続くコメント欄を見て、少し怖くなりました。
皆一様に差別だと非難しているのです。
でもね、これ、多分、ものすごい誤解だと思います。

このCMはスイスでも流れていますので、私も以前から知っていますが、一度たり
とも、“ドイツ人が日本人を軽視している”という風に捉えたことはありません。
今でもそうは思っていません。
何故か?
今日は、その事について少し書いてみようと思います。
というか、簡単な話、スイスに長く住み、ドイツ人の友人も沢山いる私に、彼らに
代わって少し弁解させて下さい、という事なのです。

あ、でもね、最初に断って置きますが、私はこのCMを「素晴らしいものだ」とか
「センス抜群だな」等と思っている訳ではありませんので、その辺は誤解なさらな
いで下さいね。

まず、このCMはシリーズ風というか、同様のコンセプトになっていて、何編もの
別のCMが既にあります。
それを踏まえての今回のCMですから、この一編だけを抜き取ってすべてを決めて
しまうのでは、印象も随分と違ってしまうと思います。

あくまでこれは私の解釈ですが、そのコンセプトというのは、壮大なプロジェクト
を妄想している大工仕事だの庭仕事だのとは無縁な、所謂、TVの前に座ってビー
ル片手にだらだらと過ごしていた様な男達が、一念発起してDIYを始めるというも
のです。
ホルンバッハは、安さが売りのDIYチェーン店ですから、CMも随分長い間、滑
稽さや親近感を前面に出しています。
幾つもの過去のCMを見ても、他を攻撃するような種類のものはなく、己を笑う様
なもの、つまりコメディーです。

次に、日本のイメージです。
最近ではスイスもそうですが、ドイツにもだんだん日本のサブカルチャー的なもの
が入って来て、人気になっています。
そう、サブカルチャーです。
日本のおかしなCMやTV番組なども、ネットを通してだんだん広まっています。

我が夫B氏が、このCMを見て最初に思ったのは、以前見た番組「探偵!ナイトス
クープ」でやっていた”おならの匂いを嗅ぎたい女性”です。
番組の中では若い女性が、匂いの強そうな食品を数日間食べ続けた男性達のおなら
を、ゴムホースで直接嗅いでいました。
そう、今の日本のイメージは、侍や芸者ではなく、可笑しな事を大真面目でやる変
わった、でも面白い人達、になりつつあるのです。

そして、このホルンバッハが日本人を起用したCMは、私の知る限り、今回のもの
以前にも確か二編あります。
一つは、新進気鋭のスタイリッシュな日本人建築家が、アナザースカイか情熱大陸
かといった風に“建築とは“を語り、写真撮影用のカメラの前で格好良いポーズをと
り、ホルンバッハの滑稽な音がバックに流れるというもので、もう一つは似たよう
な感じで、確か家具職人か何かだった様に記憶しています。
日本の建築や職人の技術が素晴らしいのは、こちらでも知られています。
そう、このコンセプトも、例えば全くの初心者が、自分はカッコいい建築家でもあ
るかのような気分で、家のリホームでもするという様な事なのではないかと。

で、今回問題になっているCMです。
何でも自動販売機で買える、変わった趣味嗜好も商売になる位受け入れられる、女
性が自分の希望をはっきり表せる……これらは日本のイメージですね。
これ、意外かもしれませんが、どれもこちらではあまりないのです。

普段は家で何もせず、女房にすら邪魔にされていそうなだらしない体系のおやじ達
が、雪もそろそろ溶ける今、ホルンバッハで道具をそろえ、外に出て肉体労働を始める。
そしてそれは、単なる庭仕事ではなく、春の土の匂いが働く男の汗と共に、コンク
リートジャングルに生きる若い女性にまで届けられる国家プロジェクトに……って
な具合に妄想は広がり、という事なのではないでしょうか。
妄想の中ではもちろん、泥まみれで働いている自分は、カッコいい男なわけです。
だるだるの腹なんてありませんからね。
CMタイトルの「So riecht das Frühjahr.」というのも「春はこんな匂いだ」と
「春はこうやって嗅ぐんだ」の二重の意味ではないかと言ったら、考え過ぎでしょ
うか。
だから大都会(春がいつ来るか分からない)、遠くの国の自動販売機(テクノロジ
ー)、自立した女性、で日本人なのではないのかなと。
そんな風に、私はこのCMを解釈してみたのですが、如何でしょう?

私は20年以上スイスに住んでいます。
数ヶ月ではありますが、ドイツに住んでいた事もありますし、ドイツ人の友人知人
もいます。
ドイツ語をこちらで習い、毎日ドイツ語で生活していますので、言葉のニュアンス
とか、国民性みたいなものも、日本にいる皆さんよりは、ある程度良く理解してい
ると思います。
少なくとも私の知る限りドイツ人は、わざわざCMを使ってまで人種差別をする様
な国民ではありません(ドイツだけでなく、大概の国がそうだと思いますが)。
また、第二次世界大戦中に自分達がした事は間違いであったという教育が、学校で
も行われています。

このCMは、人種差別だのアジア人軽視だのという様な意図ではなく、それどころ
か、そういう反応が起こるかも知れないという事すら、考えてもみなかったのでは
ないでしょうか。
ただ単に、面白いと思うCMを作っただけなのではないかと。

色々な人がいて、それぞれの意見があって、それを話題にするのはとても大切な事
です。
ただ、私がいつも思うのは、ある一つの情報を得た場合、その一つだけをもって全
てとしてしまうのは、やはり危険ではないかという事です。
自分が得た一情報は、鵜呑みにしてそのまま発言するのではなく、出来ればさらに
幾つかの違う情報源のものと比較して、取捨選択し、自分自身で考えて、という作
業が大事なのではないかと。
そしてその結果何かを発言する際でも、ほんの少し、他の意見や未知の可能性が入
り込める隙間を開けて置くのが重要なのではないかと。

……ものすごい久しぶりの日記ですが、私は今日、そんな事を考えました。

2019年4月1日 (月)  サイト、引っ越しました。

以前はヤフーのジオシティーズに書いていた日記、あちらの終了に伴い、引っ越しをしました。
2019年3月31日までジオシティーズのホームページに記載されていたものは、全て新しいホームページとして、以下の場所に移動しました。
http://superminzi.ninja-x.jp/


が!
新しい記事をどうやってホームページにアップしたらよいのか、まだ何もかも分からず、手探りの状態です。
FFFTPだのサクラがどうしただの文字は化けまくるしで、もう、頭パンパンです。
そして何故か、ジオシティーズの方ではすごく長い間更新などしていなかったのに、日記を書いてしまいました。
しかも、早いとこアップしないと意味のない日記を。

ということで、新ホームページがきちんと扱えるようになるまで、何もかもグダグダだとは思いますが、出来る所まで頑張ってみます。
ま、見ている人はいないかもしれませんが、一応お知らせです。

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