2010年1月3日 (日)  新年のご挨拶

皆様へ

明けましておめでとうございます。

昨年は色々とお付き合い&辛抱して下さり、大変感謝しています。
今年もまた、宜しくお願いいたします。

去年は立て続けに嫌なことが起こり、日記を書く気分になれなかったことが多く、さぼりがちの日々でしたが、今年は心機一転、またきちんと更新をしていこうと思っています。

いえね、嫌なことがなくなったわけではないのですが、それに対する私の気持ちが幾分昇華できたというか……

偶然分ったことですが、私の抱えている問題は私だけのものではなく、やっぱり典型的なスイス人気質のなせる技だということが判明しまして。

まぁ、スイス人同士で何世代にも渡ってもめ続けている事柄を、ひょっと来の外国人である私が簡単に変えられるわけもなければ、無傷で通り抜けられるわけでもないということですわ。

そうと分れば対処は出来ます。
ふん、今年は私、洗いざらい書きますわよ。

では、今年も皆様にとって、すんばらしい1年になりますように。

                 みんつ

2010年1月15日 (金)  何でそ〜なるの? 1

記憶にある限り私は、レシピ通りに料理をしたことがありません。

いつでも何でも「適量」「だいたい」「お好み」「その日冷蔵庫にあるもので」という具合で、我が家には料理の本すらありません。
時々新しいアイデアを貰うため、インターネットで検索することもありますが、その時もレシピにはざっとを目を通すだけで、後は自己流で適当に作ります。

今までそれで「酷いものが出来た」という様なことはありませんし、夫B氏を含め周りの人達も「美味しい」と食べてくれますので、まぁ、このままで良と思っています。
正直な話、レシピ通りにきっちりとやるのが、私には面倒臭いのです。

ところが今、私の机の上には、あるレシピ関連の雑誌が載っています。
この雑誌は、毎月私の元に届けられます。

そう、一般的な視点から言えば、私はこの雑誌を定期購読しているわけです。
何故私が、こんな回りくどい言い方をするかというと、私は、この雑誌が必要でもなければ欲しくもないからです。
では、欲しくもない雑誌を私は、何故定期購読しているのか?

それは、去年、こんな風に始まりました。

「みんつ、そろそろ欲しい物を考えておいて」
15年近くもの間、毎年「欲しい物はない」「私は物を貰うのが好きではない」と伝えているにもかかわらず、この年も義母は私に聞きました。

私の日記をいつも読んで下さる方はもうご存知でしょうが、この質問から逃れる術は、ありません。
少なくとも私は「いらねぇって言ってんだろう、この糞ババア!」と言い放つ方法以外、いまだ見付け出しておりません(もちろんそんなことは言いませんので、ご心配なく)。

そして、この問答の難しいところは、答えは既に決められているということです。
私が私の欲しい物を素直に言ったとして、それが却下される割合は、はい、かなり高いのです。

例えば、消え物関連はまず却下です。
以前、義母の焼く人参のケーキが美味しかったので「それを丸ごと1つ欲しい」と言ったことがあるのですが、「ケーキはプレゼントじゃないわ」と返されました。

本も駄目です。
義母は、町の図書館でパートをしていますし、読書クラブ――皆で同じ本を読み、その感想を述べ合う集まり――にも入っていますから、ドイツ語を始めたばかりの頃、私は「小さな子供でも読める様な本が欲しい」と何度か言ったのですが、それは無言の内に却下されました。

実用品は、物によって受け入れて貰えますが、義母の好みで選択されます。
以前日記にも書いたのですが、私は「秤が欲しい」と言ったことがあります。
この時の私は、こんな風に言いました。

・ダイエット用に使うから、10g単位ぐらいで量れる物が良い。重い物は量らないので、2kg位までしか量れないやつで良い。
・常に出しておいて、台所で料理を作る時、食卓で食べる時と、あちこち持ち運びがしたいから、軽くて小さい物が良い。
・色々な物を続けて量るから、それぞれの皿や椀ごとで量れる様、上皿が平らな物が良い。
・汚れた時、簡単に拭いたり水洗いしたり出来る様、繊細でない物が良い。
・実用品に気を使いながら使用するのは嫌なので、安価な物が良い。

そして最後に、こう言いました。
「ほら、昔からよくあるピンクとか白の、プラスティックの安いやつ、ああいうので良いんです」
私がどういう秤を考えているか、分りますよね?

ところが貰った代物は、両手でなければ持ち運びが出来ない程大きな、25g単位で5kgまで量れる、上皿がボール状でスポンジの緑の方で洗うと傷が付いてしまう、金属製の秤でした。

その上、義母のこんな台詞付きです。
「これは良いやつなのよ。高かったから、大切に使ってね」

一体これは、何のゲームなのでしょう?

           〜次回に続く〜

2010年1月19日 (火)  何でそ〜なるの? 2

               〜前回からの続き〜

簡単な話、義母にとってプレゼントというのは、後々にまで残り、日常のふとした折に目に留り「あぁ、これはお義母様から頂いたxxだわ。こんなに素敵な物を貰えて、みんつ、幸せ」と思えるような物を指すのです。

でもね、仕方がないじゃないですか、私はそういったものに全く興味がないのですから。
私は昔から本当に物欲がなくて、祖母に連れていって貰ったデパートのおもちゃ売り場で、「特に欲しい物はないからいい」と言う様な子供だったのです。

そんな私が、毎年「欲しい物」を考えなくてはいけないのです。
しかも、「これならあったら使うかも」という物を何とか捻り出しても、別のものが来るのですから、私にとってこの課題がどれだけ苦痛か、皆さんは理解してくれますでしょうか?

私は、色々と考えた末、残る方法は一つしかないと思いました。
「カタログの欲しい商品に丸印を付けて渡す」です。
どうです? 
これなら、別のものが来ようもありませんよね?

ちょうど知人が使っている調理器具で、以前から「あれば便利かも」と思っているものがあったので、私はそれを選ぶことにしました。

私がそれを自分で買わないでいたのは、どうしても必要というわけではなかったことと、それを買うには、その販売会社の会員にならなければいけなかったからです。
会員になるには、1年間の雑誌購読(有料)が条件ですから、その器具の為だけに会員になるとすると、会員費を合わせた値段で買うほどには、欲しい品ではありませんでしたし。

ところがそう、義母は、何年も前からその会社の会員なのです。
これは良い考えですよね?
ある意味、義母にしか出来ないプレゼントですものね。

ということで私は、その商品名を義母に伝えました。

完璧ですよね?
今回こそ私は、本当に欲しかった物が貰えて、「お義母様、ありがとうございます。大切に使わせて頂きます」とか、折に触れ「お義母様から頂いたあれ、本当に重宝しています」なんてことが、心から言えるはずですよね?

ところがどういうわけか、私のリクエストを聞いた義母は、歯切れの悪い物言いをするのです。

はっきりと「駄目」という感じではないのですが、「分ったわ。それを注文しておくわね」とも言わないのです。
元々物事をはっきりと言わない義母ですが、今回はもっとぐずぐずというか、何か変なのです。

「やっぱり実用品は嫌なのかな?」「安すぎ(三千円弱)た?」「何か他に予定していた物があるとか?」……
よく分らないまま時間が経ち、その間に私は、義母と同じ様なやり取りを2、3回したかと思います。

そんなある日、義父母宅で食事をしていると、義母がまた言いました。
「みんつ、プレゼントは何が良いのかしら?」

「またその話か。もう何度も説明したはずなのに、一体何なんだろう?」
と思った私は、次の瞬間、ふとあることに気付きました。
「ひょっとして義母は、PCが使えないのかも知れない」
そう、今まで私は、ずっと口頭で説明していたのです。

その調理器具販売会社には、インターネット販売とカタログ販売があって、義父母宅にはデスク・トップがありますから、私は、義母もインターネットで注文もしくは商品を見ていると思い込んでいましたが、もしかするとコンピューターは、義父専用なのかも知れません。

「お義父さん、ちょっとPCを借りても良いですか? お義母さんに見せたいサイトがあるので」
私は、インターネットでその会社のサイトを開けると、義母に「これが欲しいんです」と商品をクリックして見せました。

                   〜次回に続く〜

2010年1月21日 (木)  何でそ〜なるの? 3

            〜前回からの続き〜

今回こそ、完璧ですよね?
後は会員ナンバー等を打ち込んで、『注文』をクリックすれば良いだけですから、私は当然義母に尋ねます。
「お義母さん、会員ナンバーを教えて下さい。それとも後は、ご自分でやりますか?」
ところが、ここでも義母は、何か歯切れが悪いのです。

「もしかしたら、私に会員ナンバーを知られたくないのに、言い出せないのかも」
そう思った私は、立ち上がって義母に椅子を勧めました。
「じゃ、後はお任せしますね。何か分らなかったら、声を掛けて下さい」
すると義母が言います。
「私、ネットで買い物するのはあんまり好きじゃないから、後で、カタログで注文するわ」

あぁ、そういうことだったのですね。
私もどちらかというと、インターネットにクレジット・カードの番号等を入れるのは、抵抗のある方ですから、義母の気持ちは良く分ります。
私は、商品名と番号をメモして義母に渡すと、食卓に戻りました。

これで終りですよね?
ことは、滞りなく遂行されましたよね?
私は、もう気を緩めても良いですよね?

しかーし、10分と経たない内に義母がまた言います。
「あのね、さっきのプレゼントだけど、お金は私が払うから、みんつが会員になって直接自分で注文したらどうかしら?」

「へ?」
「私が注文するとこの家に届くけど、貴方が自分で注文すれば、わざわざ取りに来なくて済むわよ」
「お義母さんの会員番号で私宛に送ってもらうっていうのは、無理ですかね? その、プレゼント用とか何かそんな項目、ないですか?」
……っていうか、どっちにしたってお金を払って貰う時に、ここに来なくちゃいけないはずだけど。

「会員費ももちろん私が払うから、心配しなくて良いわよ」
「否、そういうことじゃなくて、私、会員自体になりたくないんです。例の、毎月送られてくるレシピ雑誌が嫌なんです。その、ゴミが増えるから」
「あら、レシピは便利よ」
「私、レシピを見て料理しないから」
「でも、他に欲しい物が出来るかも知れないし」

皆さんには、このゲームのルールが分りますか?
私は、この時点で完全にお手上げです。
理解不可能なだけでなく、もうこの話全体を「なかったことにして欲しい」と思うぐらいです。

正直なところ、自分で会員になるほどには、私はその調理器具を欲しくないのです。
というのも、雑誌が嫌な他にも、せこい話ですが……

例えば、その器具が2500円だとしますよね。
私は「あったら便利かも知れないけど、絶対に欲しいって程ではないな。1900円ぐらいなら、買っても良いけど」程度に思っているのです。
それが、その器具を買うためだけに会員になるとすると、会員費2000円が上乗せされますから、器具は4500円となるわけです。
1900円の価値しか見出していない物に4500円は、たとえそれが他人のお金だとしても、私は払いたくないのです。

「自分で会員になるなら、じゃ、この器具は要りません。何か他の物を考えてみますから、少し時間を下さい」
「あら、でも、これで良いじゃない? 会員になる手続きなんて、大したことじゃないし」
「否、だから、そういう問題じゃないんです。読まないと分っている雑誌が毎月送られて来て、封も切らずにゴミ箱行きっていうのが、嫌なんです」
「じゃ、読めばいいじゃない」
……ひぃ〜っ!

義母は何故、簡単にその品を買ってはくれないのでしょう?
そして私は、この無限ループからどうやって抜け出せば良いのでしょう?

             〜次回に続く〜

2010年1月27日 (水)  何でそ〜なるの? 4

                〜前回からの続き〜

これはごく個人的な感想ですから、もしこの雑誌の愛読者がいましたら、怒らないで欲しいのですが、ぶっちゃけて言うとね、この雑誌に載っている料理って、知人宅かどこかで何度か見たことがあるのですが、全然美味しそうじゃないんですよ。

お菓子を作る人は参考になるかも知れませんが、普通の食事の方は、写真の段階で既に食欲が湧かないのです。
だから、普通のレシピですら読まない私は、この雑誌が毎月送られてくるのが嫌なのです。

また、調理器具にしてもプラスティック製が大半ですし、正直値段が物の割には高い気がしますし(ブランドだから?)、今回の義母のプレゼント攻撃がなければ、基本的に私が自分で買うような部類のものでは、ないのです。

ただ、会員である義母は、この会社の雑誌は有用だし、製品は素晴らしいと思っているはずですから、そうはっきりとは言えませんよね。

ということで、わけの分らない会話を終らせるため、私は、もう一度言いました。
「自分で会員にならないといけないのなら、私、このプレゼントは欲しくありません。なんか色々面倒だから、今年のプレゼントは止めにして下さい」

すると、義母は少し狼狽した様子で、ぼそぼそと呟きます。
「あぁ、じゃ、近所のxxさんに注文して貰うわ」
「???」
「xxさんなら、大丈夫だと思うから」
「???」

「xxさんは会員なのよ」
「もしかして、お義母さんは会員じゃないんですか? でもこの家には、あの会社の製品が、いっぱいあるけど」
「……実は、10年間会員だったのだけど、去年で辞めたのよ」

何で?! 
何で義母は、最初から「私はもう会員じゃないから、そのプレゼントは無理よ」と言わないのでしょう?!!
何回も何回も、長〜い期間に渡って繰り返されてきた問答は、彼女が最初にそう言ってさえいれば、やらずに済んだのです。
何という無駄、会話も時間も労力も気遣いも、何もかもが無意味だったのです。

この辺りで私、完全に脱力です。
……もう、家に帰りたい。

それでも私は嫁ですから、礼儀正しく答えます。
「そのプレゼントはもう忘れてください。たまたまお義母さんが会員だと思ったから、それを選んだだけで、どうしても欲しいってわけじゃないんです。それに、私の知人にも会員の人がいますから、どうしても欲しかったら、彼女に頼めますから」

すると、義母の顔がぱっと明るくなりました。
「じゃ、その人に頼んで注文してもらって。代金は私が払うから」
「あぁー、そうですね。そうなったらまた、お母さんに連絡します」
……だからいいって。もう欲しくないんだって。大体、そんなに欲しい物だったら、私は、とうの昔に知人に頼んでるさ。

今度こそ、これで終りですよね?
私は、知人に頼むかも知れないし、頼まないかも知れないし、でも、頼んだ場合には義母に請求書が行く、ということで合意ですよね?

ところが!
ええ、まだ終りじゃないんです。

暫くすると、台所で洗い物をしていた義母が、にこにことやって来ます。
「みんつ、古い雑誌を探したらね、会員申込書が入っていたわ。貴方の名前で出しておくから、あのプレゼント、注文して良いわよ」

……えぇーっ!!! 何で? 何で?? 何でぇーっ???!!!

             〜次回に続く〜

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