2012年2月12日 (日)  報われた忍耐 1

今冬のアルプスは大雪で、一回に降る量も多ければ、降る回数も多いです。
千葉の温暖な地域で育った私、こんなにたくさんの雪はいまだに新鮮で、毎回、割とウキウキしながら雪かきに勤しんでいます。

私が雪かきをする場所は3ヶ所ありまして、一つ目は、我が家の玄関前から伸びる細い私道、二つ目は、下の階に住むお婆ちゃんの家の前から村の公道まで続く、傾斜がついた車が通れるぐらいの私道、三つ目は、その公道を挟んで向かい側にある車二台分の駐車場です。

一つ目の私道は、完全に我が家が賃貸している範囲内ですので、雪かきをしようがしまいが、私の勝手です。
で、もちろん私は雪かきが好きなわけですから、ここは常に綺麗にしてあります。

三つ目の駐車場も、やはり私達が賃貸している場所ですので、私がいつも雪かきをしています。
ただ、ここには色々な人が無断で駐車しますので――ここが我が家の駐車場だと知っているにもかかわらず、誰も断りに来ません――私はわざと、車一台分だけ特別丁寧に雪かきをします。
こうすると、普段図々しい人達も気後れするようです。

二つ目の家自体の正面玄関から伸びる私道は、下の階に住むお婆ちゃんの敷地ですから、基本的には、私が雪かきをする必要はありません。
しかしこの道は、まぁ、私も我が夫B氏も通るわけですから、私は、人間が1人ゆったりと通れる程度の雪かきをしています。

実はここ、以前は私か夫B氏が、自発的に私道全部の雪かきをしていたのですが、お婆ちゃんが毎回何だかんだと言って来たので、今年からは、私達が通れる分だけの雪を掃除することにしています(この話はまた今度書きますね)。

さて、初めにも言いましたように、今冬は特に大雪です。
この3ヶ所全てを1人で、しかもシャベル一本で雪かきするのは、正直大仕事です。
一回で50cmぐらい平気で積もる雪を、何時間もかけてどかしたと思ったら、次の朝にはまた、前日の作業跡が全くうかがえないぐらいの雪が積もっている、などということも度々あります。

それでも私は、「無料のフィットネス・クラブだぁ〜」なんて思いながら、帽子、革手袋、雨合羽という格好で、外に飛び出します。
そうです、雪かきの最中に雪が降っていることも、しばしばなのです。
でも、ここで雪かきをせずに「晴れるまで待ってから」とやると、翌日の量は倍になりますし、駐車場に車が入らなくなりますから。

そんな風にせっせと雪をかいている私の横では、酪農家達が除雪車やショベル・カーを繰り出し、村の公道を綺麗にしているのですが……

除雪車というのは、良く知らない方もいるかと思いますので、一応説明しますと、車の前にこんな感じ→( の大きなものが片側に傾いて付いていて、車が道を走ると、路面の雪がその傾いている側にわぁ〜っと押しやられていきます。
で、ある一定の場所まで行くと、残りの雪を全部その隅に置いて、また別の道を除雪しに行きます。
ショベル・カーは、あちこちの隅に積み上げられたその雪をすくって、邪魔にならない場所まで運んで捨てる、を繰り返します。

皆が皆、己のやるべきことをやっているだけなのですが……

我が家の駐車場は、公道に沿って出来ている、単なる空き地みたいなものです。
ということは、そう、除雪車がわぁ〜っと雪を押しやっていくと、その雪は我が家の駐車場の入り口で、壁を作るように積み上げられてしまうのです。
しかも除雪車が運んでくる雪は、水っぽかったり凍っていたりして、普通のものより重いのです。

たった今綺麗にした駐車場が、すぐ目の前で、重た〜い雪で塞がれるのです。
そいつを黙ってもう一度綺麗にし、「さぁ、終った。家に入ろう」と数歩行くと、私の背後でまた除雪車が、わぁ〜っ。
除雪車の運転手は、私がずっと雪の中で作業をしているのを見ていたのに。

さて、一体どうしたものでしょう?

                       〜次回に続く〜

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