2008年4月3日 (木)  夏時間

いつもサイトに来て下さる皆様へ。

3月30日からスイスは夏時間になりまして、時計が1時間早くなっています。

ということは、毎朝9時に起きていた私、その調子で目を覚ますと既に10時なんです。
これは結構ダメージがあります。

9時ちょっと過ぎに起きたつもりが、もう10時を廻っている!
寝起き一発から、目茶目茶駄目人間な気分になります。
本気で落ち込んでしまいそうなぐらいです。

しかし、1日の進み具合は同じです。
1時間はやはり1時間ですから、昼間の終るのが早い、早い。

いえね、何が言いたいかといいますと

「さて、日記の更新でもしようかな」と時計を見ると、もう牛小屋に行かなくてはならない時間なんです。
う〜ん、さぼっているわけではないのですが・・・・・・

ということで、みんつの体内時計がきちんと調節されるまで、日記の方は、もうちょっとだけお待ち下さい。
(ええ、ええ、更新が滞っている言い訳ですとも。)

では、牛に餌やって来ます!

                  みんつ

2008年4月8日 (火)  春休みにします。

皆様へ。

いきなりで申し訳ありませんが、日記の更新を暫くお休みします。

サイトのリニューアル、撮りっ放しの画像、生活での細々したこと・・・
あちこち手を付けただけで、きちんと処理していないものが、たくさん溜まっています。

また、最近身の回りに起こった事柄も、立て続けに腹の立つことばかりで、日記に書ける程には、私自身の中で整理し切れていません。

ということで、ちょっと気晴らしというか、頭を空っぽにして、出来ることから済ませていこうと思います。

私の日記を楽しみにしていて下さる方には、勝手な話で申し訳ありませんが、だらだらとつまらないものを書くよりは、少し休憩を入れて気持をリフレッシュした方が良いかな、なんて思ったのです。

日記以外の更新は、今まで通りに続けますので、暫くの間はそちらで楽しんでいて下さい。

では。         みんつ

2008年4月14日 (月)  2008年度『ミスター・スイス』 決定!

皆様、お待たせいたしました。
今年の「ミスター・スイス」が決まりました。

スイス人と日本人の趣味は違うのでしょうか、今回も私達がノー・マークの男性ですが・・・
ま、ごちゃごちゃ言わず、さっさと見てもらいましょう。

この方です(↓)。

シュテファン・ヴァイラー(候補者15番)

1984年生まれ、23才。牡羊座
ドラッグ・ストア店主
184cm、76kg

(時間が経った為、画像は外しました。)


他の候補者がもう一度見たい方は、こちらからどうぞ(↓)。

『ん、どんな候補者がいたっけ?』
(時間が経った為、リンクは外しました。)

2008年4月16日 (水)  こうしてずれて行く。 1

【die Schuld(シュルトゥ):何か悪い事、不道徳な事、禁じられている事に関しての責任。⇒罪、負い目、義理、負債など】

このサイトによく来て下さる皆さんがご存知の様に、私は、去年の11月から近所の牛舎で働いています。

働くといっても、私は本気で酪農業を始める気はありませんし、趣味でやっているだけですから、無料です。
その代り、気分の乗らない日は行かなくても構いませんし――といいつつ、今のところきちんと通っています――いわゆる責任はないわけです。

牛舎の掃除が趣味というのもおかしな話ですが、私はこれを本当に、単なる楽しみの為にやっているのです。
酪農業が一体どんなものなのかという、ちょっとした好奇心と、冬の間は隣村のジムまで自転車で行けませんので、それに代る筋力トレーニングを兼ねた趣味、というところです。

ですから私は、あまり役に立ちそうにもない私を快く引き受け、牛舎内で好きにさせてくれているH氏に対して、感謝しています。

また、去年の9月から私は、未経験者を対象にして、週に1時間バレーボールの基礎を教えています。
といっても、これも単に楽しみの為ですから、やはり無料ですし、今のところ参加者は2名だけです。

私が入っている村のバレーボール・チームは、いつも人数が足りませんから、どんなに下手な人でも参加してくれると助かるのですが、尻込みする人が多い為、私はこの(バレーボールを教えて欲しいという)頼みを快く引き受けました。
「いつかチームに参加してくれたらな」と思っているのです。

ですから私は、たとえ彼女達の進歩が遅くとも、続けてくれるだけで、感謝しています。

が・・・

スイス人というのは、概して、他人に借りを作る事を嫌います。
否、正確に言うならば、他人から「あんたは私に借りがある」と思われているのではないか、と思える状況に身を置く事を嫌います。
私が女性だからかも知れませんが、この傾向は、特に女性の間で強く見られます。

また、スイスでは、夫婦はいつも一単位で、何事も一緒くたに考える傾向があります。
日本の様に、夫には夫の、妻には妻の世界があり、それらは分けて考えるという習慣はありません。
夫の借りは夫婦の借り、妻の借りも夫婦の借りというわけです

そんな気持は、酪農家夫人M嬢にとっても、同じ様に働いたのでしょう。
というのも私は、M嬢自身にバレーボールを教え、彼女の夫H氏の仕事を手伝っているのですから。

私がH氏・M嬢夫妻と知り合ったきっかけは、H氏がバレーボール・チームに入っていたからです。
H氏と気が合った私は、彼の牛舎に出入りする様になり、その内にM嬢が「本当はバレーボールをしてみたいのだけど、全く経験がないので気が引ける」という話になり、「じゃぁ、私と一緒にやってみる?」となったのです。

何にも問題はありませんよね?
ただお互いに、やりたい事を楽しむだけで良いですよね?
しかし、ここはスイスです。
「みんつとM嬢はお友達になりました、めでたし、めでたし」とは行かないのです。

ある日の事です。
牛舎で働いている私に、H氏が言いました。
「みんつは、スキーをするのかい?」

スイス、特に山だらけのこの州では、子供が歩ける様になったら、次はスキーという具合ですから、老若男女、外国人にはこの質問をします。
私は、冬になると必ず出されるこの質問に、いつも通りこう答えました。
「うん、一昨年から始めて、まだ習っている最中」

この時の私は、これが事の始まりだとは、気付きもしませんでした。

               〜次回に続く〜

2008年4月17日 (木)  こうしてずれて行く。 2

            〜前回からの続き〜

スキーを習っていると答えた私に、H氏は「スキーは好きか?」「どのスキー場に行っているのか?」等と話を続けます。

H氏の調子は、至って気軽な世間話ですが、それでも私は、村の他の人と話す時同様、少しばかり気を付けて答えました。
というのは、こんな理由があるのです。

私の住む山には、スキー場が2つあります。
1つはこの村のすぐ上、我が家から歩いて10分と掛らない場所(仮に「A」とします)、もう一つは車で10分と掛らない、近所の村の上(こちらは「B」にします)です。

地元民割引がありますから、本来ならAスキー場に行った方が良いのですが、リフトやゲレンデの状態を考えると、初心者の私にはBスキー場の方が簡単な為、私達夫婦は今のところBスキー場を利用しています。

しかし、子供の頃からスキーをしているスイス人にとっては、大人の初心者が恐いと感じるほんの僅かな傾斜の差など、既に遠い過去の記憶ですから、私がBスキー場に行く事は――もっと難易度の高い、大きなスキー場に行くのならともかく――何となく「自分達のスキー場を否定された」と感じる様なのです。

ですから私は、「Bスキー場に行くのは、あっちの方が優れているから?」と聞かれた時、「いいえ、あっちの方が簡単だから」と答えましたが、H氏はやはり納得出来ない様でした。

「どっちも同じだよ。Aスキー場においでよ」
「最初のリフトが、降りる時に難しいんだよね。ほら、私小柄だからさ、ちょっと飛び降りないといけないんだけど、まだそこまで上手くないから」
「あんなリフト、簡単だよ」
「うーん、どうしようかねぇ」
この時はこれで終ったのですが、その数日後、またH氏が言いました。

「みんつは、誰にスキーを習っているんだい?」
「え、夫B氏だよ」
「B氏は、スキーは上手いの?」
「この州で育っているからね、下手ではないと思うよ。私のレベルではきちんと判断出来ないけど、他の人と比べても普通か、普通より少し上手いんじゃないかな」
そしてこの時もH氏は、「Aスキー場に来た方が良い」という様な事を言いました。

H氏の話し方に非難めいた調子は一切ありませんが、私は、その後も同じ話が出る度に、「こんな小さな村のスキー場は、地元民がお金を落とさないと、維持出来ないのかな」という感を強めました。

そんなある日、M嬢が牛舎に顔を出しました。
「あれその格好、スキー帰り? 今日はあんまり天気、良くなかったでしょう?」
そう言う私に、M嬢が笑います。
「こんな日に、遊びでは行かないわよ。スキー場のレストランでパートしてるの。みんつ、今度レストランにいらっしゃいよ」

ああ、これでH氏が何度も「Aスキー場に来い」と言う理由が分りました。
M嬢が、そこのレストランで働いているからですね。
そう、やっぱり地元民として、地元の繁栄に協力しろという事です。
こういう小さな村の住民は、地元意識が強いですから、皆さんそういう気遣いをするのですね。

この時の私は、H氏・M嬢のダブル「Aスキー場に来い」攻撃に「そうだね、今度1回行ってみようかな」と答えました。
これはもちろん義理立てのつもりでしたから、家に帰って、B氏にもそう伝えました。

「あのね、M嬢が、レストランxxで働いているんだってさ。今度、お茶ぐらい飲みに行こうよ」
ところがB氏は、不思議そうな顔をします。
「xx? ○○じゃないのか?」
「ううん、xxって言ったよ」
「xxは、ゲレンデから少し外れているぞ。歩きは無理だし、みんつのレベルじゃ、まだスキーであそこには行かれないぞ」

この辺りで、私の頭には「???」が飛び回り始めました。
H氏・M嬢夫妻は、一体私に何をしろというのでしょう?
何故、こんな訳の分らない、押し問答の様な会話を続けるのでしょう?

              〜次回に続く〜

2008年4月18日 (金)  こうしてずれて行く。 3

               〜前回からの続き〜

それからまた暫く経ったある日、B氏が、地元の地域新聞に載った記事を見て、言いました。
「みんつ、H氏は、Aスキー場でスキーの先生をしているんだ!」

この辺の酪農家には多いのですが、彼らは冬の間、あまりする事がありませんので、夫はスキー場で先生もしくはリフト係りを、妻はゲレンデのレストランでウェイトレスをして、家計の足しにするのです。

これで全ての謎が解けました。
H氏・M嬢夫妻が私に「Aスキー場に来い」と言ったのは、「牛舎で働いたり、バレーボールを教えくれるお礼に、スキーを教えてやる」という事だったのですね。

しかし、ここに一つ問題があります。

H氏・M嬢夫妻の気持はありがたいのですが、私は、(先生ではない)B氏にスキーを教わっている事に関して、不自由を感じていません。
つまり、簡単な話ですが、Bスキー場のシーズン・パスを持っている私にとって、わざわざAスキー場のリフト券を買ってまで、H氏に教わらなければならない理由がないのです。

というわけで、私は、H氏と率直に話す事にしました。
「私にAスキー場に来いって言ったのは、貴方がスキーを教えてくれるつもりだったんでしょう?」
「そうだよ」
「気持は嬉しいけど、私は、今貴方が忙しくて疲れているのも知っているし、B氏に教わっていて不満はないし、その申し出は必要じゃないのよ。気持だけで十分だから」

すると、H氏はこう言います。
「でも、何か良い事をしてもいいだろう?」
「そりゃ、いいけど。私としては、貴方がここで私を働かせてくれるだけで、ありがたいの。あんまり役に立っていないだろう私に、辛抱してくれるだけで。それにね、ここで働いているんで、村の人からの評判が良くなったのよ。貴方はもう、良い事をしてくれているわ。これ以上は、多過ぎるの」

これで良いですよね?
「ありがとう。でも、スキーを教えて欲しいとは思っていないし、お礼も要らない」と、はっきり伝わっていますよね?
実際、この時の会話はこれで終りましたし、私には、H氏もそれで問題ない様に見えました。

ところが、ここはスイスなのです。
『Schuld(シュルトゥ)』は、返さなければいけないのです。
特に、スイス人女性にとっては。

「それとね、H氏にスキーを教わる件なんだけど・・・・・・」
数日後、用事があって電話を掛けて来たM嬢が、ついでの様に言いました。

「あぁ、それなら必要ないから、気にしないで」
「H氏は、本当にスキーが上手なのよ」
「ええ、知っているわ。プロの先生でしょう」
「そうよ。それなのにみんつは、どうしてH氏から教わりたくないの? 上手な人から教わると、為になるわよ」
「それはそうかも知れないけど、私には、Aスキー場は難しいし」
「あら、そんな事ないわよ。AもBも同じレベルよ」

ええと、これは何でしょう? 
私はもう一度、終った筈の話を、最初から繰り返さないといけないのでしょうか?

「前にも言ったけど、私のレベルだとリフト自体が難しいのよ。降りる時に、飛び降りないといけないから、一人では無理だし、B氏がいる時は、Bスキー場に行っているから」
「それなら、私と一緒に行きましょうよ!」
「え、でも、M嬢は今忙しいでしょう。せっかくの休みの日にまで、私に付き合う必要はないわよ」
「そんな事は気にしないで。じゃ、今度私が時間のある時、みんつを連れて行くって事で良いわね?」

そう言って半ば強引に話を決めると、M嬢は、すっきりした声で電話を切りました。

                  〜次回に続く〜

2008年4月21日 (月)  こうしてずれて行く。 4

              〜前回からの続き〜

「牛舎で働いたり、バレーボールを教えてくれるお礼に、H氏が無料でスキーを教えるけど、Aスキー場に来ない? H氏は、スキーの先生なのよ」
こんな風に聞いてくれたら、私は、はっきりと返事が出来たでしょうし、多分その返事は「ありがとう。でも、要らないわ」であったと思います。

何故なら、H氏がスキーを教えてくれるのは、他の授業の合間(正規の生徒がいない時)の1〜2時間でしょう。
H氏が他の人に教えている間、私は、何をしますか?
一人で練習するとしても、リフトはどうしますか?
かといって、レストランで座っていたって仕方がありませんよね。

Bスキー場なら(既に払ってあるから)必要のないお金をわざわざ払って、時間を持て余すのが分っているAスキー場所に、貴方なら行きたいと思いますか?
しかも、たった1、2回H氏から習ったところで、どれだけ上達するのでしょう?

厳しい言い方をするならば、M嬢の申し出は、私ではなく彼女自身の為です。
彼女が良い気分になれる様、私は、欲しくもないものを、さも有り難そうに頂戴しなくてはいけないのでしょうか?
大体、借りを返したいのはM嬢であって、H氏ではないのですから、M嬢は何故、自分の力で何かをしないのでしょう?

これも実は、スイス人女性が良く使う手なのですが、彼女達は、誰かに何か良い事をしたい時、自分の周りにいる人(大抵は夫や成人した子供達)にそれを押し付けます。
押し付けられる方が、それを望んでいるかどうかは、相談ぜずに決める場合が多く、結果的に、与える方も受け取る方も何となくおかしな感じだけれど、彼女の望み――借りを返したいという罪悪感の払拭――は果たされた、という具合になるのです。

バレーボールを始めた時、私には、それが好きだという他に、もう一つ理由がありました。

以前にも何度か書きましたが、今までの知人達は、ある意味で、私が選ぶ権利のない中で知り合った人達――私は外国人ですから、言葉がよく分らない時期に知り合った人だったり、制限された職にしか就けない状況での知人であったり、夫の友人・家族関連の人達であったり――です。

皆良い人ではありますが、私にはやはり、何処かしっくりしない部分があるのも事実です。
そんな私は、自分の好きな世界で知り合った人となら、私の望む友人関係を作れるのではないか、と思っていたのです。
そして、そんな中で知り合った一人、H氏とは、かなり良い関係が作れていたのです。

ですから、このままM嬢の言う通りにスキーを習ってしまったら、そこには誤解が含まれたままですから、H氏・M嬢夫妻と私の今後の関係は、私の望まないものになってしまうのではないでしょうか?

もう一度だけ私は、H氏に率直に話す事にしました。
それによって関係がぎくしゃくするなら、H氏・M嬢夫妻は、私の友達にはなり得ない、という事です。

「昨日M嬢が電話を寄越してね、貴方からスキーを習えと言うのよ。殆ど強制的だったけど、どうしちゃったの?」
「あぁ、M嬢は良かれと思っているんだよ」
「うん、それは分ってる。でもね、私は、貴方達とそういうお行儀の良い、ご近所関係を作る気はないのよ。今まで通り、お互いに本心から楽しめる、正直な関係でいたいのよ」
「もちろん俺も、みんつとはそういう関係のつもりだよ」

「じゃ、お礼とかは無しね」
「M嬢は、何か良い事をしたいんだよ。そういう女性なんだよ」
「うーん、でも、本当に不要なのよ。……ぁ、分った! スキーよりもっと良い事があるわ。それこそ貴方じゃなくちゃ、B氏じゃ出来ない事が」
「何だい?」
「夏になったら、草原でトラクターの運転を教えて欲しいの。夏なら、貴方も忙しくないでしょう? 私は喜ぶわよぉ、どうする?」
「OK、じゃ、トラクターで決まりだ!」
その後、H氏はM嬢と話をした様で、スキーの件はなしになりました。

今回は、私が早目に気付けた為、H氏夫妻との関係も壊れる事なく、問題が解決しましたが、正直、こういう事が起こる度、私は落胆します。
スイスに住んでいる事が、私にとって果たして意味があるのか、疑問に思えて来ます。

スイスでも、「日本人は礼儀正しく親切だけど、本心が見えない」何て台詞を聞きますが、
……けっ、お前らが、人の話を聞かないだけだろうが、このぼけぇ!

2008年4月28日 (月)  近所の猫

週末に戻った夫B氏が、珍しく面白い話をしてくれました。

B氏が今一緒に仕事をしている男性は、アパートに住んでいるのですが、多分近所で飼っているのでしょう、窓を開けていたりすると、時々猫が彼の部屋に入ってくる様なのです。

「入ってくる様だ」というのは、はっきりと確認したわけではないからです。
つまりその猫は、こそっと入って来て、餌になりそうな物を探したりしては、さっと逃げて行くだけで、彼に撫でさせたり、その姿を堂々とさらしたりはしないのです。

彼はというと、猫は嫌いではありませんし、特に被害があるわけでもありませんので、「慣れたら、その内なついてくるだろう」と、好きにさせていました。

そんな天気の良いある日、彼は、窓を開けたまま、近所のスーパーに買い物に行きました。

暫くして、部屋に戻った彼は、何となく気配を感じ、寝室を覗きました。
と、そこには、例の猫がベッドの上で寝ているのです。
いえ、彼には最初、少なくともそう見えたのですが、何かが変なのです。

彼は、その何かを確認する為、出来るだけ静かに寝室に入りました。
といっても、相手は猫ですから、人間の気配には気付いてしまいますよね。
普通なら、その筈ですよね?
しかし、その猫はぴくりともしません。

やはり、何かがおかしい。
そう思った彼が、もう少しベッドに近寄った時、その原因が分りました。

何と、猫だと思っていたその動物は、野生のリスだったのです!

「リスが、俺のベッドで爆睡している……」
振り返ると、居間の机の上には、リスが食べたと思われる「チェリー酒入りチョコレート」の包みが散乱しています。

そう、このリスは、彼の留守中に入り込み、チェリー酒入りチョコレートでべろんべろんに酔っぱらい、彼のベッドで眠ってしまったのです。

……ね、スイスらしい話でしょう?

5月の日記へ