2006年6月2日 (金)  ここが変だよスイス 3

   (以前の日記、『ここが変だよスイス 1、2』からの続きです。)

3、文房具

【輪ゴム】
日本ですとこれは、スーパーなどに行くと買った物に付いていたりして、私は自分で買った記憶がないのですが、スイスでは、輪ゴム自体を目にする機会が、非常に少ないように思います。

ですから、必要な場合は店で買うのですが……

まず、一パックの容量が少ない。
はっきり数えたことはありませんが、10〜20本ぐらいしか入っていないと思います。
そして、何故か赤、白、黄というように着色されています。
また、太さや長さがばらばらです。
私の小指ぐらいの物があるかと思うと、びよ〜んと伸び切ってしまった様な大きな物もあるし、イカ・ゴム(正確な名前が分りません)の様な物もあります。

これはもちろん、一パックの話です。
一つのパックに、こういう色々な物が入っているのです。
スイス人は一体、これをどうしているのでしょう?
各パックでサイズを揃え、何種類かに分けて売るというのでは、駄目なのでしょうかね?

【テープ・カッター】
正確にはなんと言うのか知りませんが、セロテープやガム・テープを切る金具のあれです。
スイスのそれは、よく切れません。

そのせいなのかどうか、スイス人は荷物の梱包などをする時、ガム・テープを歯で噛み切ります。
実はこれ、私も試してみたのですが……すごく嫌な味がしました。
ちなみにこれは、ビニールみたいなタイプの物です。日本にある手でも綺麗に切れる繊維っぽいガム・テープは、私の知る限り、スイスにはありません。

【ノート】
全体的に粗末な代物ではありますが、中でも長い間不思議に思っていたのが、方眼紙状のノートです。
「長い間」というのは、これを書くに当たって、一番新しく買ったものを見たところ、改良されていたからです。

では、つい最近まで、私にとって何が不思議だったのか?

この方眼紙タイプのノート、1マスが何故か8mmだったのです。
日本では1cmですよね。グラフなどを描く時に、計る必要がなくて便利だったように覚えていますが。
しかし8mmですと、方眼紙になっていること自体が、かえって邪魔になります。
その上、やはり最近まで、ページ内の枠取りがなかったのです。

分りますか?
ノートを開くと、8mmの方眼が中途半端に端を切られた状態で始まっていて……複数ページに渡って表を書きたい場合、ページごとに、微妙にその表がずれて行くのです。

で、今はどうなったか?
一マスは1cm四方になり、各ページに枠取りがされました。
……スイス人も、不便に感じていたのでしょうかね?

【下敷き】
ありません。

【物差し】
スイス人は、物事を関連付けて考える習慣がないのでしょうか?
それとも、物差しは滅多に使わない物なのか?

最近は、ひょっとしたらあるのかも知れませんが、数年前私が探した時点では、筆箱の大きさに合う物差し、というものがありませんでした。
三角定規とか、すごく長い物はあるのですが、筆箱に収まる15cmぐらいの物がないのです。
そういえば、30cmもなかった気がします。

ということで、我が家には日本の100円均一で買った文房具が、たくさんあります。
いえいえ、私じゃありません。夫B氏が買い込んだのです。

2006年6月5日 (月)  お知らせ

皆様へ

昨日と今日は、キリスト教徒の祝日で、スイスはお休みです。

昨日、日曜日が『Pfingsten(ピングステン):聖霊降臨祭』
今日、月曜日が『Pfingstmontag(ピングストモンターグ):聖霊降臨祭の月曜日』です。

イエス・キリストの復活後50日目で、聖霊が降臨したことを記念する日……ということです。
ま、この祝日は、特に何をするわけでもないようで、スイス人は普段の休日のように、静かに過ごしています。

我が家も今日は、夫B氏が家にいますので、私の日記もお休みです。
ですから、「ここが変だよスイス」の続きは、明日になります。

では、また明日。 

               みんつ

2006年6月6日 (火)  ここが変だよスイス 4

       (『ここが変だよスイス 1〜3』の続きです。)

4、物事の単純なる違い

【コンピューターのキー・ボード】
「Y」と「Z」の位置が逆です。
ドイツ語で「Y」は殆ど使いませんが、「Z」は案外使うので、配置が換えてあります。

【道路】
これは、想像に難くないでしょうが、スイスの車は右側を走ります。
あ、スイス人に言わせると「左を走る日本が変」、だそうです。

【テレビの自主規制】
これは、スイスでも放送されている、ドイツのテレビ局の番組で見たのすが、大人の裸は全部見せますが、子供のそれは、下半身がぼかしてあります。
幼児ポルノに利用されるのを防ぐためでしょうか?

尚、子供番組ばかりを放送する局は、夜の9時になると、番組がなくなります。

【書類】
日本では手書きが良しとされますが、スイスでこれは、友人間のみです。
正式な書類は全て、タイプ・ライターで打つなりコンピューターで印刷します。

ちなみに日本の様な履歴書の用紙はありませんので、就職の際には、各自が自分で考えた書類を送り、応募します。
ああ、もちろん、印鑑や原稿用紙もありません。

【帽子】
日本の場合帽子は、日射病にならないようにと、暑いからかぶりますよね?
それもまあ、ないわけではないのですが、スイス人は、夏よりも冬に帽子をかぶります。
彼らの髪質は、とても細いので、冬になると頭が寒いのだそうです。

【サン・グラス】
彼らの色付きの目は、日本人のそれよりも弱いようで、サン・グラスはファッションというよりも、目を守るための必需品です。

日焼け止めクリームも同様に、弱い肌を守るための必需品で(出来れば彼らは、日焼けしたいのです)、スイスでは男性でもしっかりとこれを塗ります。

【食事の仕方】
日本では「三角食べが良し」と教わりましたが、スイスでは一皿ずつ片付けます。
ですから、私が友人を招き、日本風に机の上一杯に料理を出すと、皆「これは、どれから食べれば良いの?」と、困った顔をします。

かくいう我が夫B氏も最初の頃は、私が和食を作ると、まず味噌汁を全部飲んでから、他のものを食べていました。

【部屋の照明】
スイスの家庭では、蛍光灯は殆ど使われていません。
どの部屋でも、薄暗い、雰囲気のある間接照明が「良し」とされています。

夕飯作りに失敗して、料理が焦げた時などには、大変便利ですね。

【スポーツ】
全員ではないでしょうが、基本的にスイス人は、
・野球を知りません。
・自転車が好きです。
・ヨガを習う方が、格闘技を習うよりも、良いことだと考えます。
・しかし身体は、かなり硬いです(何年間もヨガを習っているスイス人より、何もしていない日本人の方が柔らかいです)。
・個人競技を好む傾向にあります。

そして、スイスでは
・ゴルフは、盛んではありません。
・ボーリングのピンは、紐で吊ってあります。
・釣りは、免許制です。

2006年6月9日 (金)  今年の目標

水曜日あたりから、ここアルプスも良い天候になり、「このまま夏へ向かうのか?」という感じになっています。

もちろんこうなれば、私、みんつは畑に出ます。
毎日せっせと畑に出、いつの間にか消えてしまった苗をもう一度植えたり、発芽率の低い野菜の種を蒔き直したりと、遅れ気味のスタートを取り戻そうとしています。
また、雨ばかりで伸び過ぎた芝も刈りたいですし、他にも細かい雑事が溜まっています。

そして、もう何度も書いていますが、みんつが畑に出れば、下の階に住むお婆ちゃんは、やはり外に出て来ます。
「あら、みんつ、今日は小枝の整理かい?」
昨日の午後私は、一ヶ月程前に庭の樹を切り倒した際に出た、小枝を集めて縛っていました。

この樹はお婆ちゃんのもので、幹自体は既に酪農家R氏によって、薪用に処理されていたのですが、細かい作業なので薪にするには面倒である、葉の付いた枝は、私が処理するということで、庭の隅に積んであったのです。
その後、雨ばかりが続いたため、その枝はかなり長い間放置されていました。

「ええ、この枝、いい加減もうどうにかしないといけないから。本当はもっと早く整理したかったけど、雨ばかりで……長い間放って置いたけど、まずかったですか?」
「まさか。もちろん雨なのに、そんなこと出来ないわよ」
「今日明日で、終わらせちゃいますから、もう少し待って下さいね」
「良いわよ、気にしないで。ところで、そこに生えているのは何? レタス?」
お婆ちゃんは、畑の一画に密集して生えている野菜を指しました。
「ええ、レタスです」
「そろそろ、植え替えないとね」

実は私、このレタスはあまり植えたくなかったのですが……特にどうということもないレタスなので、つまらないのです……種をもらったため、蒔いただけなのです。
種はまだたくさんありますから、私はわざと一杯蒔いて、間引きしたものを鶏に上げようと思っていました。
「ああ、これは、もう少し大きくなったら間引きして、R氏の鶏に上げます。鶏も、たまには良い思いしないと」
私は冗談の様に言って、笑って見せました。

私としては、ここで終わりにして欲しいのですが、皆さんも既に察している様に、スイス人はそうは行きません。

「でもね、勿体ないじゃない。20cm間隔位にして植え替えてやれば、みんなちゃんと育つわよ」
「ええ、それは分っていますけど、種、まだ一杯あるんですよ。レタス自体は、一度にたくさんより、時期を少しずつずらして収穫出来る方が良いでしょう? だから、今生え過ぎている分は鶏に上げて、もう少し経ったらまた種を蒔こうかと思って」
「あら、私はレタスが好きだから、たくさんあっても良いわよ」
……去年はあんなにたくさんあったのに、レタスなんか殆ど食べなかったじゃないか。 

何度も書いていますが、私の畑は、100%純粋な楽しみのためにやっているのです。
収穫は、極端に言ってしまうなら、どうでも良いのです。
種は一袋10g入りとかで、たかだか100円ちょっとです。畑はただで借りていますし、庭に撒いている水も山からの湧き水ですから、お金はかかりません。
つまり、スーパーのレタスが1個100円位なのですから、私としては、このたくさんの種から2個収穫出来たら、それで元は取れるのです。
別の場所には、違う種類のレタスもありますし、お婆ちゃんが毎日食べたとしても、問題はありません。
しかも、鶏たちは私がいつも良い餌をあげるので、今では私の足音を聞き分けるのです。
こんなの、楽しいじゃないですか!

「レタス、そろそろ植え替えなくちゃね」
お婆ちゃんは念を押す様に言うと、家の中に戻りました。

……今年は、絶対に植え替えない!

2006年6月12日 (月)  お休みします。

皆様へ。

ここアルプスもすっかり暑くなり、私は今、たまっている庭仕事に追われています。

あれもこれも中途半端で、早く終わらせてしまいたいものが、たくさんあります。
色々気にしながら、どれもきちんと出来ないより、一つに集中して、さっさと片付けてしまおうと思います。

ということで、申し訳ありませんが、今週いっぱい日記の更新をお休みさせて頂きます。

掲示板やメールの方は、手の空いた時に覗きますので、今まで通りお気軽にお書き込み下さい。

では、引き続き、作業に行って来ます!

                みんつ

2006年6月19日 (月)  サッカー『ワールド・カップ』 2006

「スイス人って、どんな感じ?」

皆様のこんな疑問に答えてみようと思い、私は今まで、ミスター・スイスの裸だの、ミス・スイスのビキニ姿を紹介して来ましたが、今日は、調度良いタイミングでサッカー選手の写真が手に入りましたので、それをお見せしようと思います。

ええ、ええ、また脱いでます。

何でしょうかね。
スイス人は、「格好良い=セクシーであること=裸」とでも考えているのか、よっぽどの露出趣味なのか・・・

尚、名前などの読み仮名(カタカナ)は、私がふったものですので、日本で通っているものとは違う場合もあるかと思います。
何せスイスは多言語国家ですから、何語なのか分らない名前もありまして。
・・・ということで、お許し下さい。

では、興味のある方はこちら(↓)からどうぞ。
『スイスの代表選手達』
(* 時間が経った為、画像は外しました。)

2006年6月21日 (水)  サッカー『ワールド・カップ』 テーマ曲

今日もサッカーW杯関連です。

といっても私、サッカーは全く分かりませんので、試合について等ではありません。
前回の日記の画像が、思いの外反響がありましたので、同じ雑誌のバック・ナンバーをもう一度めくっていましたところ、面白いものを見付けました。

今回のW杯参加に当たって、どうやら『スイス・チームのテーマ曲』とでもいうものの、一般公募があったようなのです。
そして、その賞を見事得たのが、私が住む州出身のラップ・シンガーだったようです。

で……
今はすごいですね、インター・ネットでその曲が聞けます。


曲自体はラップですし、私個人の趣味的にも「どうかなぁ」、とは思うのですが、彼は私の住む地方の方言で歌っています。
私が毎日、どういう言葉を聞いて暮らしているのか、興味のある方もいるのではないかと思いますし、大学でドイツ語を専攻した方などには、スイス・ジャーマンが如何にハイ・ジャーマンとは違うのか、面白いのではないかと思うのです。

ということで、ご紹介します。

歌手はこの青年(↓)。

『Gimma』
(「チンマ」という感じに発音します。)
(* 時間が経った為、画像は外しました。)

曲はこちら(↓)。

『HYMNA』
(ヒムナ:賛歌)
(* 時間が経った為、リンクはなくなりました。)

2006年6月26日 (月)  本当に好かれているのか?

私と下の階に住むお婆ちゃんは、同じ屋根の元に暮らす隣人として、上手く行っていると言って良いと思います。

私が畑仕事をしている間は、毎日一緒にお喋りをしますし、窓を開けた時などに目が合えば、挨拶だけでなく、ちょっとした雑談もします。
たまには午後のコーヒーにも呼ばれますし、バーベキューを一緒にしたりもします。
お互いの留守の際には、家の管理をし合い、お婆ちゃんがパンを焼けば、焼きたてのお裾分けが来ることもありますし、私達夫婦が友人を呼んで、日本食でもてなす時は、私がお裾分けを持って行きます。

これを上手く行っていると言っていけない理由は、何処にもないと思います。
実際お婆ちゃん自身も、他所に住む娘達に「みんつとは気が合っている」と話しているようですし、私も知人達に冗談交じりで、「お婆ちゃんとはマブダチだから」と言っています。

ところがそれでも、全く疑問がない、というわけではありません。
お婆ちゃんの年齢のせいなのか(推定85歳ぐらい)、単にそういう性格なのか、はたまたスイスではそれが当たり前なのか……
私には、理由は理解出来ませんが、分っているのは「お婆ちゃんは、おそらく何も考えずにしているのだろう」ということだけです。

先日、5月の末にこんなことがありました。

私は唐辛子を大きな鉢に植え、室内で育てていたのですが、そろそろ季候も良くなって来ましたので、思い切って外に出すことにしました。
それは、私一人では持ち上がらない程の大きな鉢ですので、出来れば我が家の玄関からさほど遠くない、それでいて最も陽当たりの良い場所に置きたいと考えました。
そうすれば、急に冷え込んだ日などに、鉢をさっと室内に戻せるからです。

私は考えた末、上の条件を満たし、尚かつ邪魔にならない場所として、お婆ちゃんの玄関前にずらっと並んでいる、ゼラニウムの鉢植えの隣に置かせてもらうのが、一番良いのではないかという結論に達しました。
「お婆ちゃん、この鉢植え、南国の唐辛子なので、陽当たりの良い場所が良いと思うんで
すよ。ゼラニウムの隣に置いても良いですか?」
そんな私の問に、お婆ちゃんは「もちろんよ」と、微笑みました。

さて、数日後です。

天気が急に悪くなり、今夜当り山の上では雪が降るかも知れない、という予報を聞いた私は、唐辛子が気になり日中何度も外を眺めていました。
……部屋に入れた方が良いか? このままでも大丈夫か? ビニール・シートで覆おうか?
そんな風に思っている間にも、外はどんどん暗くなり、強い風が吹き出しました。
そしてついに、はらはらと白いものが。
「こりゃ駄目だ。雪が降って来たんじゃ、鉢は部屋に入れなくちゃ」
私は覚悟を決めて、フリースを羽織ると、風の吹く戸外に出て行きました。

お婆ちゃんはもっと早目に対応をしたようで、遠目にも、ゼラニウムの鉢達に覆いがかかっているのが見えます。
鉢全部に被せたビニール・シートを棒にくくり、風でも飛ばないように固定してあるようです。
「うぅ、寒い。これで5月だなんて、信じられないわ」
そう独りごちながら、唐辛子の鉢植えに手を伸ばした私は、ぎょっとしました。

何と! 
私の鉢だけに、ビニールが掛かっていないのです!!
2列になって10鉢ぐらいがずらっと並んでいるのに、その全部にビニール・シートがきちんと掛けられているのに、私の鉢だけは、放ったらかしなのです。

しかも!!
ビニールを結わいてある棒が、私の鉢の中に突き立てられています!!!
この棒が、また結構太くて……うまか棒ぐらいあります。
それが、私の生えたての小さな唐辛子達の間に、深くしっかりと立てられているのです。

え、何? これはどういうこと??? 
自分のゼラニウムさえ無事なら、私の唐辛子はどうでも良いってこと?
その前に、普通、他人の植木鉢に断りもなく、うまか棒を刺すか?
否、うまか棒を刺すなら、自然な行動として、私の鉢も覆わないか?

……一体これは、何の合図なんだ!?

2006年6月27日 (火)  ガキの使い

我が家の大家は、正確には、下の階に住むお婆ちゃんの長女C夫人です。
C夫人は、推定50代後半で、夫と別の村(私の村から車で30分位)に住んでいます。

この家の事情をざっと説明すると、こういう事です。

ここは3階建ての一軒家なのですが、現在は1・2階にお婆ちゃん、3階に私達が住んでいます。
お婆ちゃんには娘が2人いて、この家の1・2階を次女に、3階と向かいの牛舎をC夫人に生前贈与してあります。
つまり、別の村に住むC夫人は、自分が使用しない相続した物件、牛舎を酪農家R氏に、家の3階部分を私達に賃貸しているのです。

私達の部屋は、改築され、入り口も何もかも下の2階とは完全に別れていますので、私がお婆ちゃんと親しくしていなければ、独立したアパートと同じです。
実際、今までの店子は、お婆ちゃんと殆ど接触がなかったようです。
そして、私がお婆ちゃんと親しくしているのは、幸運なる偶然であり、C夫人とは何の関係もありません。

ところが、C夫人がお婆ちゃんの娘であるが為に、ややこしい問題が時々起こります。
どういう事か?
簡単な話、C夫人が大家として、手抜きをするのです。

昨日、月曜日の夕方の事です。

前日の夜に雨が降り、昨日は涼しい一日でしたので、私は畑の水撒きは不要だと判断しました。
私が畑に出ないという事は、「午後の一時をみんつと過ごす」というお婆ちゃんの日課は、果たされません。
まあ、明日がありますから、一日位みんつと過ごさなくても構いませんが、昨日のお婆ちゃんには、気になる事がありました。
というのは、娘であるC夫人から「みんつ宅に水曜日、暖炉の修理人が来る」と聞かされたからです。

……みんつは確か、水曜日から数日間、友人が泊まりがけで来ると言っていた筈。
その日に修理人が来て、暖炉の大がかりな解体をするのでは、まずいのではないか? 
みんつは、この事を知っているのかしら?

夕方になっても庭に出ないみんつを思い、バルコニーでゼラニウムに水をやりながら、お婆ちゃんは決意して叫びました。
「みんつ!!」
外から大声で呼ばれた私は、窓から顔を出しました。
「水曜日に暖炉の解体屋が来るけど、知っている?」
そう聞かれた私は、お婆ちゃんの予想通り、驚きました。
「え、水曜日って、来週の? それとも明後日?」
「明後日よ。貴方、友だちが来るって言っていたわよね」
「ええ、水曜日は困るな……」

お婆ちゃんから修理屋の電話番号を聞いた私は、念のため、帰宅した夫B氏に尋ねました。
「B氏、明後日、暖炉の修理屋が来るらしいんだけど、知っていた?」
「否、知らないけど。何時に来るんだ? 明後日はまずいよなぁ」
「……」

私の所に、私の部屋に付いている暖炉を解体しに、修理屋が来るのですが、何故私はそれを知らないのでしょう?
大体、暖炉を解体する事自体、先日いきなり修理屋が訪ねて来て初めて、知らされたのです。
今の暖炉の代りに何が来るのかも、私はまだ知りません。

私は、日常生活で支障のない程度、ドイツ語(ハイ・ジャーマン)を理解します。
スイス・ジャーマンにしても、ドイツ語ほどではありませんが、大抵の会話が分ります。
「修理屋が暖炉を解体しに、水曜日にやって来る」
この程度のスイス・ジャーマンなら、電話でも問題はありません。

それでもC夫人は、直接私に電話を掛けることが気重なのでしょう、下の階に住む、自分の母親に電話をし、さりげなくその話題に触れます。
そして、私を心配したお婆ちゃんの口から、それは私に伝わり……
こういうところ、実際スイス人は、驚くほど引っ込み思案です。

……あんた、もういい歳なんだから、自分の事は自分でしなさい!

2006年6月28日 (水)  愚痴らせて下さい。

        (昨日からの続きです)

今日の日記は、昨日の日記を読んでいないと分りません。
まだの方は、まずそちらを先にどうぞ(スクロールして下さい)。

さて……

今、スイス時間の7時45分です。
朝の7時45分です。

私の日記をいつも読んで下さっている方は、よくご存じかと思いますが、私は早起きが苦手です。
私の1日は、通常9時過ぎから始まります。

では、何故私は今日、こんな朝早くから日記を書いているのか?

皆さん、聞いて下さい!!
今日は、申し訳ありませんが、愚痴らせて下さい。

昨日日記に書いた暖炉の解体屋が、もう働いているのです!
7時半にやって来て、既に、ごとごととやっているのです!!
ええ、そうです。起こされましたよ。
しかも、この修理、2〜3日間かかるそうです。

大家さん、頼むよ。
こんなに朝早いアポイントなら、うちに連絡してくれよ。
電話一本ぐらい、50歳も過ぎてて、掛けられるでしょう!!

もう、信じられない……

2006年6月30日 (金)  暖炉解体 序章

解体前の暖炉(↓)。





この暖炉は、かなり古いものなのですが、定期的にひび割れ等の修理をしていれば、問題なく使えます。
朝晩の一日二回、薪を五〜六本焚くだけで、続きの三部屋(寝室、B氏の部屋、私の部屋)を暖める程の力があります。

一般的なスイスの家庭では、セントラル・ヒーティングが普通ですが、我が家に備わっている暖房器具は、元々これだけです。

タイル一枚一枚に彫られた模様が綺麗なので、部屋の装飾としても、私は結構気に入っていました。

今回これが解体され、捨てられてしまうということで……幾らか寂しい気もします。

7月の日記へ