2008年6月2日 (月)
迷探偵みんつ、再び。 2
〜前回からの続き〜
「出て来た石で、壁でも作ろうか」
そう考えたのは、もちろん私の畑が傾斜していて、土留めが必要である事もありますが、そう思わせたのは、出て来た石の形状だったのです。
どういうことかというと、その石は、見るからに「積み上げて、壁でも作ってくれ」という風なのです。 平らで、四角い石の板。
変ですよね? 畑から出てくる石が、ことごとく、まるで人工的に切断されたかの様に四角いなんて。
こうなると私は、気になって仕方がありません。 先程まで、無造作に隅に積み上げていた石の所に行き、それらをもう一度手にとって、じっくりと形を調べました。 見れば見る程、それは人の手によって切断された、としか思えません。
こぶし大の小さな石も――この時点でこぶし大の石は、私にとって小さな石となり、それ以下の石は、除く必要もない小砂利となっていました――断面が人工的ですし、中には歩道の石畳の様に四角いものもあります。
……これは、絶対にただの石じゃない。自然に出来た石が、こんなに四角いわけがない。断面だって綺麗過ぎる。
私は、その後も掘り出される石を、慎重に観察しました。 すると、やはり大抵のものが、切断されたかの様に四角いのです。 私の頭の中では、色々な空想が展開されます。
……この畑には、きっと何か建物が建っていた筈。家かな? でも、こんなにたくさん石が出るとなると、家ではないかな。……はっ!!
ここで私は、重要な事に思い当たりました。 石の大きさに気を取られていて、今までは気にしていませんでしたが、実は、私の畑からは、石以外にもあるものが、正確に言うなら3種類のものが、たくさん出て来ていたのです。
その内の2種類は、朽ちかけた木材と五寸釘です。 これだけなら私は、家が建っていたと考えたでしょう。
少々石の割合が多過ぎではありますが、この辺の住宅には、石造りの地下倉庫がありますから、木材が少ないのは、大半は処分され、ここに捨てられた物は、既に腐って土となってしまったのだろう、と考えたと思います。
しかし、私に決定的なイメージを与えたもの、それがもう一つのものなのです。 掲示板で時々冗談に書いていましたから、覚えている方もいるかも知れませんが、そう、私の畑からは、動物の骨や歯がたくさん出て来ていたのです。
顎の骨の感じから私は、それは犬か狐だと思っていて、飼っていた犬が死んだのを埋めたのか、狩って来た狐をここで捌いていたのだろう、と思っていたのですが、この綺麗に切断された石と組み合わせると……
分りますか? パズルの駒がぴったりとはまる答が、他にありますよね?
私の様な都会育ちの素人からすれば、犬や狐と山羊の顎(の骨)は、同じ様に見えませんか? では、山羊ではなく、羊はどうでしょう? もう少し飛躍して、仔牛あたりは?
そうです、この畑に建っていたのは、家畜小屋です!!
〜次回に続く〜 |
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