2007年9月4日 (火)
ロマンティックな夜
「大自然に囲まれたスイスのアルプスで、青い目の男性と暮らしている」なんて聞くと、中には、「さぞや、ロマンティックな日々を過ごしているのだろう」と思う方もいるかも知れません。
手を取り、目を見詰め「今日も綺麗だね。愛しているよ」とか、記念日には夫が花束を抱えて帰宅し、妻は食卓にロウソクと赤ワインを用意して待ち…… そんな風景を想像した事のある人も、いるのではないでしょうか?
私の日記をいつも読みに来て下さる方は、もうそんな事は、ないのかも知れませんが、それでもひょっとして、中にはこんな風に思う方もいるかも知れません。 「何だかんだ言っていても、本当はみんつ家だって、案外ロマンティックなのでは」
ええ、ええ、本当は我が家だって、たまにはロマンティックな夜を過ごしているのです。 今日は思い切って、そんな話をしてみようと思います。
昨夜の事です。
夕食後、一緒にテレビを見ていると、夫B氏が突然言いました。 「みんつは、女として、ハードなタイプだよな」
そりゃ、そうです。 私は何といっても、自称ハード・ボイルド主婦ですから、そこらの柔な奴らと一緒にされちゃぁ、困るというものです。
「そうだよ、ばりばりのハードだね。ソフトな方が良かった?」 「うん、ソフトな方が良いな」 「じゃ、何で私と結婚したの?」 「そりゃ、俺がとっておきの愚か者だからに、決まってるだろう! ガハハハハ」
「じゃぁさ、ソフトな女っていうのは、どんな女?」 「そりゃ、柔らかい女さ」 「あぁ、それなら私は、滅茶滅茶柔らかいよ。ほら、ここ触ってみ。ぷやぷやだよ」
私が差し出した二の腕を、B氏はわし掴みにすると、冷ややかに言います。 「これは、太ってるだけだ」 「なんだとぉ!」 私が冗談で叩く真似をすると、B氏はまた言います。 「ほらな、そういうのがハードな証拠だ」
「ふん、ハードで結構。私は、世界一のハードを目指すさ」 「ちょっと、膝枕してくれないかな?」 「嫌だね。ハードな女は、そんな事はしないね」 「ちょっとだけだから」
頭を割り込ませようとするB氏に対抗し、ソファーの上で私は、体育座りの体勢を取ると、両手で膝をしっかり抱えました。 と、B氏がおもむろに、私の肩を横から押します。
ころり。
体育座りのまま転がった私を見て、B氏は声を立てて笑うと、強引に膝枕の状態に持って行きました。
「えぇ、そんな風に膝枕して、満足なの? 膝枕っていうのは、こう、もっとほんわかとした雰囲気で、行われるものじゃないの?」 「どんな風だろうが、膝枕は膝枕さ。目的は達成されたんだ、満足だね」 そのままテレビを見続けるB氏。
「けっ、まだまだ甘いな、君は。本当のハードな女を、今、見せてやる!」 「……」 「んーっ、んーっ」 「……」
ぶりっ。
「へへへ、臭いだろう。これだけ接近してると、もろだな。どうだ、参ったか?!」 「そんな攻撃、俺はもう、慣れっこさ。あ〜、妻の臭いだ〜」 そう言って、深呼吸するB氏。
……すいません、こんな夫婦で。 (お食事中の方、大変申し訳ありませんでした。) |
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